中央アジア5カ国+ドイツのサミット開催、ドイツ経済界は5分野での協力提示

(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ドイツ)

タシケント発

2023年10月06日

中央アジア5カ国(C5)首脳(注)と、ドイツのフランク=バルター・シュタインマイアー大統領、オラフ・ショルツ首相による首脳会議が9月29日、ベルリンで開催された。EU加盟国中、単独で「C5+1」形式による首脳会議をおこなうのはドイツが初めて。経済、貿易、投資、物流、エネルギー分野の協力、気候変動による環境問題に加え、アフガニスタン情勢やロシアによるウクライナ侵攻などの地政学リスクについて議論された。

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は「ドイツと中央アジア諸国との貿易額は2022年に110億ドルに達し、うち80%以上をカザフスタンが占めた。石油化学、冶金(やきん)、食品産業の分野でさらに貿易額を拡大させる」と述べ、貿易と経済協力の拡大を最優先課題と位置付けた。また、政治的動機による経済制裁に反対の立場を表明し、西側諸国とロシアによる制裁の応酬にカザフスタンが巻き込まれている現状の難しい立場をにじませた。

同日、C5首脳とドイツ東欧経済関係委員会(EKGE)との会合も開催され、カトリーナ・クラース=ミュールホイザーEKGE委員長は「ドイツ経済界は、経済関係の望ましい多様化の一環として、中央アジアとの戦略的パートナーシップに最大の関心を持っている」と述べ、a.水素エネルギーの利用、b.レアメタル・レアアースなど原料の抽出と現地での加工、c.農業と水資源管理の近代化、d.輸送インフラの拡大、e.職業訓練の5分野での協力を提示した(EKGEウェブサイト9月29日)。また同氏は、カザフスタンがドイツの4番目の原油供給国になったことを挙げ、「中央アジアは欧州のエネルギー転換に必要とされる多くの原材料供給地としての可能性を秘めている」と述べている。

このほか、トカエフ大統領はベルリン滞在期間中、ドイツの鉱物資源探査・採掘会社のHMSベルクバウ、産業用ガス・エンジニアリング企業のリンデ、エネルギー大手のシーメンス・エナジーなどの経営者との個別面談を行い、カザフスタンでの投資事業、関心事項に関する説明を受けている。

(注)トルクメニスタンからはグルバングル・ベルディムハメドフ人民評議会議長・前大統領が参加した。

(増島繁延)

(カザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタン、ドイツ)

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