青山控股集団、チリで新たにリン酸鉄リチウム生産を開始へ

(チリ、中国)

サンティアゴ発

2023年10月23日

チリのガブリエル・ボリッチ大統領は10月16日、中国の青山控股集団(Tsingshan Holding Group)の子会社の永青科技(Yongqing Technology)が電気自動車(EV)の車載電池などにも使用されるリン酸鉄リチウム(LFP)の生産工場をチリ北部のアントファガスタ州に建設する投資プロジェクトを発表した。

発表によると、同生産工場は2025年5月に操業を開始する予定で、年間12万トンのリン酸鉄リチウムを生産する。投資額は2億3,300万ドルと見積もられている。永青科技は、チリの産業振興公社(CORFO)が行ったリチウム開発プロジェクトの入札で、2030年までSQM(注)から年間1万1,244トンの炭酸リチウムを優遇価格で入手できる権利を獲得した。加えて、2024年第2四半期(4~6月)に操業を開始する予定のフランスのエラメットと青山控股集団によるアルゼンチン・サルタ州でのリチウム開発プロジェクトで生産された炭酸リチウムをチリに輸入し、リン酸鉄リチウムの生産に使用する予定であることも併せて発表されている。

チリでは、2023年4月に同じくリン酸鉄リチウムの生産工場の建設を中国のBYDが発表している。同工場の操業開始は2025年末を予定しており、投資額は2億9,000万ドル、年間5万トンを生産する計画となっている。今回の発表と合わせて、中国企業がチリのリチウム産業全体へのプレゼンスを拡大している様子がうかがえる。

(注)チリの特殊植物栄養素・化学製品メーカーで、Sociedad Química y Minera de Chileの略。2018年に中国の天斉リチウム(Tianqi Lithium)が主要株主となっている。

(岡戸美澪)

(チリ、中国)

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