デジタルウォレットによる1万バーツ支給政策に関する世論調査を公表

(タイ)

バンコク発

2023年10月20日

国立開発行政研究所(NIDA)は10月15日、タイ政府のデジタルウォレットによる1万バーツ(約4万1,000円、1バーツ=約4.1円)支給政策に関する世論調査外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した(添付資料表参照)。当該政策は政権を主導するタイ貢献党の選挙公約の1つで、目玉政策として位置付けられている(2023年8月18日記事参照)。本調査は2023年10月9日から11日にかけて電話で実施され、全国の18歳以上の計1,310人から回答を得た。調査結果は次のとおり。

当該政策の有益性に関する設問について、30.9%が「どちらかといえば懸念している」、25.3%が「非常に懸念している」と回答しており、過半数がインフレの発生や経済の活性化につながらないなど、有益ではない可能性を懸念していることが判明した。

実施に関する設問では、47.1%が「継続されるべきであるが、現状に合わせて内容は調整されるべきである」、32.5%が「公約どおりに継続されるべきである」と回答しており、8割近くの回答者が政策の継続を望んでいることがわかった。

1万バーツの受け取りに関する設問については、79.9%が「受け取って使用する」と回答しており、大多数が受け取りに前向きである一方、「受け取らない」との回答も1割程度(13.5%)みられた。

当該政策を中止した場合のタイ貢献党の支持率を問う設問については、6割が「支持率が下がる」と回答し、デジタルウォレット政策の中止が同党の支持率に影響を与える可能性が示唆された。

チュンラパン・アモーンウィワット財務副大臣によれば、デジタルウォレットによる景気刺激策は、政府の任期である4年間で年平均5%の成長率を目標とする経済の牽引役となると見込んでいる(「バンコク・ポスト」紙10月10日)。支給については、2024年2月から開始される見込み(「ネーション」紙10月16日)。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ)

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