カリフォルニア州知事、全米初の気候変動関連の情報開示法案に署名

(米国)

ロサンゼルス発

2023年10月26日

米国カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(民主党)は10月7日、「気候関連企業データ説明責任法」(SB253:Climate Corporate Data Accountability Act)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます「温室効果ガス:気候関連財務リスク」(SB261:Greenhouse gases: climate-related financial risk)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの両法案に署名した。気候変動関連の情報開示を企業に求める法案の成立は連邦と州を含めて全米初となる。

法案SB253は、カリフォルニア州で年間総収益10億ドル以上の事業を営む企業に対し、温室効果ガス(GHG)排出量の開示を義務付けるもので、同州大気資源委員会(CARB)が2025年1月1日までに具体的な規則を定めることとされている。今後当該規則で具体化されると考えられるが、地元紙によると、同開示要件は約5,400社に適用される見込みとされている。対象企業は、当該企業やその支店からの直接排出量(スコープ1)、他社から供給された電力の使用といったエネルギー起源間接排出量(スコープ2)に加え、廃棄物、水使用、出張、従業員の通勤を含む当該企業のサプライチェーンからの排出量(スコープ3)も開示することが求められる(「ロサンゼルス・タイムズ」紙電子版10月10日)。ただし、同法は連邦法と競合する恐れがあるとの指摘もある。

ニューサム知事は署名時の声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で「カリフォルニア州が気候危機への大胆な対応でリーダーシップを発揮し続け、情報の透明性を気候変動対策につなげていることをあらためて示すもの」とした一方で、「この法案の実施期限はおそらく実現不可能で、報告プロトコルは対象の企業間で一貫性のない報告をもたらす可能性がある」と懸念を示し、法案作成者や立法府と協力して対処する意向を示している。

法案SB261は、カリフォルニア州で年間総収益5億ドル以上の事業を営む企業に対して、2026年1月1日以降、気候変動に関連する財務リスクに関する報告書を隔年で作成することを義務づけるものだ。

同法案についても、ニューサム知事は声明の中で「CARBが法案の要求事項を十分に実行するための時間が不足している」と述べるとともに、企業に与える全体的な財務的影響について懸念も示している。

CARBが今後策定する規則の内容、連邦政府や他州の同様の規制策定などへの影響が注目される。

(堀永卓弘)

(米国)

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