ドイツ北部の風力発電関連展示会HUSUM Windに福島県が共同出展

(ドイツ、日本)

ベルリン発

2023年10月13日

ドイツ北部のシュレスビヒ・ホルシュタイン州フーズムで9月12~15日、風力発電関連の展示会「HUSUM Wind外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」が開催された。15カ国から600の出展者があり、来場者数は1万2,000人だった。ロベルト・ハーベック連邦経済・気候保護相は同展示会のオープニングに出席し、風力発電の重要性を強調した。今回は「エネルギー転換」のテーマの下、グリーン水素のほか、再生可能エネルギー(以下、再エネ)のパフォーマンスや安全性、効率性の向上に必要となる、人工知能(AI)、ITセキュリティー、ブロックチェーン技術も議論された。

同展示会に県内企業と共同出展した福島県は、再エネ関連産業の育成・集積に向けて、県内企業の海外進出、優れた技術・製品の海外への販路拡大を支援している。2021年9月の「HUSUM Wind」、2022年9月の「ウインドエナジー・ハンブルク」に続き(両展示会は隔年開催)、ドイツ北部の風力発電関連の展示会に3年連続のブース出展となった。

なお福島県は、2019年10月に風力発電関連産業の一大集積地であるドイツ北部ハンブルク州と覚書を締結外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。2023年4月にも内堀雅雄知事が同州を訪れ、本覚書を更新外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしたところだ。

福島県ブースでは、福島県とエネルギー・エージェンシーふくしまが福島の再エネ推進に関する取り組みをPRした。事務局である福島県商工労働部次世代産業課の田中俊氏は「現地コンサルティング企業の協力を得て、海外の大手風力発電メーカーと出展企業とのマッチングにつなげている」と語った。

福島県ブースに過去3回連続出展している朝日ラバーの営業3部の峰岸聖氏は「当社は自動車と医療分野向けを中心に精密ゴム部品の開発・製造を得意としている。新たに再エネ分野で産業技術総合研究所(産総研)福島再生可能エネルギー研究所(FREA)や産学官の多くのパートナーと連携して、風車ブレードの性能や耐久性を向上させるデバイスの開発に取り組んできた。ドイツを始め欧州でのネットワーク作り、市場開拓を進めている」と語った。同じく福島県ブースに出展したニッチューは、風力発電用タワー向けの塗装や溶射の密着強度を上げるための表面肌粗しのショットブラスト技術として、タワー専用のブラストマシンを開発しPRした。営業本部本社営業課・課長の半田寿裕氏は「当社製品は日本国内での実績はもちろん、海外にも数多くの納入実績があるが、風力発電用タワーの自動機については新規で開発した機械のため欧州でのマーケット調査、製品PRの目的で出展した。本社に持ち帰って検討したい商談もあり、今後、風力分野に注目する」と語った。

写真 福島県ブースの様子(福島県庁提供)

福島県ブースの様子(福島県庁提供)

「HUSUM Wind」では、ベルリンやブランデンブルクなどのドイツ東部の大学や研究機関に加え、スタートアップの出展も見られた。連邦経済・気候保護省は若年層のイノベーションを推進するイニシアチブの一環で、ドイツ全土のスタートアップの共同ブースを出展し、11社が新技術を紹介した。

また、エバースバルデとベルリンに拠点を置くディープテックのスタートアップのエナカイト(EnerKite外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は、空中風力エネルギーシステムを開発し、凧(たこ)を使って高い高度で強く安定した風を利用し発電する新技術を持つ。同社の最高財務責任者(CFO)のヨシュア・ユエステル氏は「当社はベルリン工科大学発のスタートアップで20人ほどの従業員がおり、ドイツ・欧州向けに事業を拡大中。既に日本のベンチャーキャピタルともコンタクトがある。日本の大手との協業も探っていきたい。将来的には、日本の中小企業の技術を製品開発に役立てることも可能性としてある」と話した。

写真 単独出展するEnerKiteのヨシュア・ユエステル氏(ジェトロ撮影)

単独出展するEnerKiteのヨシュア・ユエステル氏(ジェトロ撮影)

次回の「HUSUM Wind」は2025年9月16~19日に開催の予定。

なお、福島県は2023年10月12~13日に、郡山市で第12回ふくしま再生可能エネルギー産業フェア(REIFふくしま2023)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを主催。海外連携4地域(ドイツ・ハンブルク州とノルトライン・ウェストファーレン州、スペイン・バスク州、デンマーク)の企業も出展している。

(小菅宏幸、小川いづみ)

(ドイツ、日本)

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