根強い日本食材人気、業務用需要が拡大、モスクワで食品見本市

(ロシア)

調査部欧州課

2023年10月04日

モスクワ市近郊の展示会場クロックス・エクスポで9月19日から22日にかけ、食品見本市「ワールドフード・モスクワ」が開催された。例年2万人前後の来場者を集めるロシア最大の食品見本市の1つで、今回で32回目。

2023年の参加企業数は主催者によると、ロシアを含む39カ国から1,000社以上。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で大きく規模が縮小した2020年から順調に回復しているが、新型コロナ禍前の2019年の規模(1,764社)には至らなかった。ロシアによるウクライナ侵攻後の2022年から、欧米企業や日本企業の参加がほぼ見られなくなった一方、東南アジアや中東、アフリカ、中南米などからの参加が増加している。

ナショナルパビリオンを出展したのは17カ国。規模では中国、トルコの存在感が際立ったほか、インド、アルジェリアなども比較的大きめの展示スペースとなった。韓国からは、韓国農水産食品流通公社が取りまとめるかたちで、同公社を含む10社が出展した。

写真 会場中央部に構えて存在感を示すトルコのブース(ジェトロ撮影)

会場中央部に構えて存在感を示すトルコのブース(ジェトロ撮影)

写真 トルコ企業による食品加工機械の出展も目立った(ジェトロ撮影)

トルコ企業による食品加工機械の出展も目立った(ジェトロ撮影)

写真 基本装飾の出展となった中国ブース(ジェトロ撮影)

基本装飾の出展となった中国ブース(ジェトロ撮影)

わずかではあったが、日本食を取り扱うロシア企業も出店した。菓子類やコーヒー類、飲料、調味料などを中心に取り扱うA社は、2022年から2023年にかけて売り上げは伸びているという。ロシアによるウクライナ侵攻以降、日本からロシアに向けたコンテナ輸送手段が大きく制約を受ける中、数量ベースでの販売量は減少した。しかし、日本製品に対する根強い需要やロシア国内でのインフレにより、一定程度の値上げが許容されていることが金額ベースでの売り上げ増につながった。

A社によると、日本メーカーとは、現在でも多くの取引先と直接取引ができている。ただし、一部の企業は直接取引から日本国内の卸売企業経由での購入に切り替えを依頼してくるところもあるという。

HORECA(ホテル、レストラン、カフェ)向けを中心に日本産の食材を提供するB社も業績は好調だ。モスクワをはじめ、ラーメンを含むカジュアルフードを中心に、これまでロシアになかった日本食が広がっており、それらの店舗向けの調味料(ビネガー類、ソース類、オイスターソース、とうばんじゃん、ゆずこしょうなど)の販売が拡大している。同社は2カ月に1度、コンテナで食品などを日本から輸入するが、貨物は毎回ほぼ完売だという。

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