米国土安全保障省、テキサス州の国境付近への壁建設を発表

(米国、メキシコ)

ニューヨーク発

2023年10月10日

米国国土安全保障省(DHS)は10月5日、テキサス州スター郡の国境付近に壁と道路を建設することを発表した。同日付の官報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公示された。

官報によると、テキサス州スター郡を通るリオグランデ渓谷地区は、国境警備の範囲内でも不法入国する難民が特に多く、2022年10月から2023年8月上旬にかけて24万5,000人が不法入国した。DHSは、迅速な建設を確実にするためには、特定の法律、規制、その他の法的要件を免除する必要があるとしている。建設資金については、トランプ前政権下だった2019会計年度の予算から、リオグランデ渓谷の壁建設のために充当されたものを使用するとしている。

DHSのアレハンドロ・マヨルカス長官は官報公示日と同日、声明を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。マヨルカス長官は「国境の壁に関する発表について明確にしたいことがある。これは(バイデン)政権からの、国境の壁に関する新たな方針ではないことだ。政権は、その発足当初から国境の壁は解決策ではないと明言してきた。われわれは現在も同じ立場に立っており、これが揺らぐことはない。官報の文言が、文脈を無視して(メディアに)引用されているが、政権の方針が変更されたという意味ではない」とし、「前政権の2019年度予算から壁建設のために充てられた資金は、法律によりこの目的に使用することが義務付けられており、われわれはこの資金を取り消すよう繰り返し議会に求めてきたがかなわず、よって法律に従わざるを得ない結果となった」と、今回の決定がバイデン政権の方針とは合致していないことを強調した。

また国務省は同日、米国に不法入国し、滞在する法的根拠を示さないベネズエラ人の強制帰還を再開すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。一方、DHSは10月3日に、米国に7月31日以前に入国したベネズエラからの難民に関しては、強制帰還から守られる一時保護資格(TPS)を延長すると発表しており、これらの難民には労働資格が与えられる(2023年10月6日記事参照)。

(吉田奈津絵)

(米国、メキシコ)

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