2022年のアクセラレーター投資案件は前年比14%増、クリーンテック分野への投資が活発

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月17日

米国の調査会社CBインサイツの発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(10月10日)によると、世界で最も活発なアクセラレーター50社が2022年に支援したスタートアップへの投資案件は7,794件で、前年比14%増、2020年比34%増となった。

2020~2022年に最も多くのスタートアップに投資したアクセラレーターは、米カリフォルニア州シリコンバレーに本社を置くプラグアンドプレイ(2,786件)だった。次いで、カリフォルニア州マウンテンビューのシードアクセラレーターのYコンビネーター(2,459件)、コロラド州ボルダーのテックスターズ(1,625件)だった(添付資料図参照)。世界で最も活発なアクセラレーター上位10社のうち6社が米国に拠点を構えている。

近年は、アマゾンやマイクロソフトなどの大企業が運営するコーポレートアクセラレーターを通じたスタートアップへの投資が急増している。例えば、アマゾンの2022年の投資件数は前年比3.5倍となり、これには同社が2022年に設立した黒人やラテン系、LGBTQIA+、女性の創業者を支援する「AWSインパクト・アクセラレーター」が大きく寄与している。

アクセラレーターによる投資を受けたスタートアップを地域別に見ると、2022年は米国が32%を占め、欧州(31%)をわずかに上回り、世界全体でトップだった。米国のシェアは、2020年が39%、2021年が36%と減少傾向にある一方で、アジアやアフリカ、ラテンアメリカなどのシェアが拡大している。

アクセラレーターによる投資案件を業種別にみると、2022年の最多案件はフィンテック分野の1,261件だった。全業種の中でも最も高い伸び率を示した業種はエネルギーおよびクリーンテック分野(前年比30%増)だった。

クリーンエネルギー分野は、ベンチャーキャピタル(VC)からも多くの投資を引きつけている。米国のコンサルティング会社のオリバー・ワイマンによると、2022年の世界のVC投資総額は前年比53%減と大幅に減少したものの、クリーンエネルギー分野のスタートアップに対する世界のVC投資総額は前年比10.8%増の123億ドルだった。同分野の投資額は2019年からの4年間で6倍以上に拡大しており、特にバッテリーや再生可能エネルギーへの投資が活発で、世界全体のVC総額の3分の2を占めた。同分野のVC投資額を地域別に見ると、北米が牽引し、2022年の北米からのVC投資額は70億ドルで同分野の約57%を占めた。次いで、欧州からのVC投資額は35億ドルで、両地域を合わせたVC投資額が同分野の85%を占めた。

(樫葉さくら)

(米国)

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