ヘッセン州議会選、与党CDUが得票率伸ばし勝利

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2023年10月20日

ドイツ中部のヘッセン州で10月8日、州議会議員選挙が行われた。投票率は2018年の前回選挙(2018年10月30日記事参照)から1.3ポイント減の66.0%で、約286万人が投票した(注)。

現与党のボリス・ライン州首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)は、得票率を前回から7.6ポイント増の34.6%と大きく伸ばし、第1党の座を堅持した(添付資料表1参照)。右派ポピュリズム政党の「ドイツのための選択肢(AfD)」も、5.3ポイント増の18.4%と伸び、CDUに次ぐ得票率を獲得した。

これに対し、オラフ・ショルツ連邦首相が率いる国政与党の社会民主党(SPD)の得票率は、前回から4.7ポイント減の15.1%だった。州議会で現与党でCDUと連立を組む緑の党も、5.0ポイント減の14.8%と低迷した。国政でSPDと連立を組む自由民主党(FDP)は、2.5ポイント減の5.0%と、かろうじて議席獲得に必要な得票率5%を確保した。左翼党は3.2ポイント減の得票率3.1%で、5%に至らず議席を失う結果となった。

議席数を政党別にみると(添付資料表2参照)、CDUは52議席を確保したものの、過半数(67議席)を獲得できなかった。10月9日付の「フランクフルター・アルゲマイネ」紙、「フランクフルター・ルントシャウ」紙など、ヘッセン州に本社を置くメディア報道によると、過半数の議席獲得に向けた今後の連立政権交渉の行方に注目が集まっている。ヘッセン州CDUのマンフレート・ペンツ幹事長は州議会選挙の翌日、「民主的な政党」と連立交渉の機会を持つ方針を示した。CDUは現行のヘッセン州議会の連立パートナー緑の党のほか、SPD、FDPにも連立協議を提案する一方、得票率と議席数で第2位となったAfDとは、距離を置く姿勢を示している。

2021年12月に発足したショルツ連邦首相率いるSPD、緑の党、FDPで構成する連立政権は、同じ10月8日に実施されたバイエルン州議会選挙でも、得票率・議席数を減らしており(2023年10月10日記事参照)、同政権にとって大きな痛手の選挙結果となった。

(注)投票率、投票者数、各党の得票率と議席数はいずれも10月9日発表の速報値。最終的な選挙結果は10月27日に発表予定。

(作山直樹)

(ドイツ)

ビジネス短信 99f901f8609ad086