ハマスとの軍事衝突、8割以上のハイテクスタートアップ企業が「影響あり」と回答

(イスラエル、パレスチナ)

テルアビブ発

2023年10月26日

イスラエルのイノベーション庁(IIA)とスタートアップ・ネーション政策研究所(SNPI)は10月23日、イスラエルとハマスの軍事衝突の影響に関するハイテク企業やスタートアップ企業約500社の回答結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。それによると、回答企業の84%が軍事衝突による影響を受けているという。内訳を見ると、「人的資源」と「金融資源」の両方で影響を受けている企業は27%、人的資源のみ影響を受けている企業は43%、金融資源のみは14%だった。

また、約7割の企業が、従業員の多くが予備役として召集されたために、機能の継続性が損なわれていると答えた。約4割の企業は投資契約の取り消しや遅延を報告している。特に運転資金が3カ月以内で枯渇する企業では、6割が資金調達への悪影響を報告しており、投資家とのミーティングができたのはわずか1割だったという。また、全体の7割以上の企業が重要なプロジェクトや受注の延期または中止を報告している。

格付け会社のS&Pグローバル・レーティングスは24日、イスラエルの格付見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げると発表した。なお、長期格付けは「AAマイナス」で変更はない。S&Pは、軍事衝突はイスラエル経済を困難にし、財政赤字を拡大させると述べた。このシナリオは、軍事衝突が主にガザ地区で継続することを前提としている。S&Pは、2023~2024年の財政赤字はGDP比5.3%と、前回予想の2.3%から拡大すると見ている(10月25日付「グローブス」)。

テルアビブ証券取引所(TASE)のテルアビブ35指数は、10月7日の軍事衝突開始時と比べて10%以上下落している。観光業、航空会社、小売業や、ガザ地区との境界地域に所在する企業などから、軍事衝突による悪影響が報告されている。一方、防衛製品やシステムの開発・生産企業の株価は急上昇しているという(10月24日付「グローブス」)。

イスラエルとハマスの衝突の詳細については特集を参照。

(アンナ・ジュコブ、中溝丘)

(イスラエル、パレスチナ)

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