米商務省、韓国のサムスンとSKハイニックスに対中半導体輸出管理の例外措置承認

(米国、韓国、中国)

ニューヨーク発

2023年10月16日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は10月13日、韓国との半導体サプライチェーン強化のため、サムスンとSKハイニックス向けに、中国を念頭に強化した半導体関連の輸出管理規則(EAR)の一部を改定すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。正式には10月17日付の官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、同日から有効となる。

BISは2022年10月に中国向けの先端半導体やスーパーコンピュータ、それらの製造技術に関するEARを強化した(2022年10月11日記事参照)。強化した規則には、米国外で生産された製品でも、米国製の技術・ソフトウエアを用いている場合はEARの対象とし、中国に輸出などする場合にはBISへの事前許可申請が必要となる、いわゆる外国直接製品(FDP)ルールが組み込まれている。同ルールにより、米国外の半導体メーカーでも要件に該当すれば、その中国拠点に製品・技術を持ち込む場合はBISの許可が必要となっていた。なお、同盟国企業の場合は事案ごとに許可を判断し、それ以外の国籍の企業の場合は申請しても原則不許可の扱いとなる。

今回の例外措置を受けたサムスンとSKハイニックスは2022年10月の強化規則施行の直後に、BISへの個別申請を経て1年間の限定的な適用除外措置を得ていた。その期限が迫っていたこともあり、あらためて例外措置が認められたと考えられる。BISは具体的に、既にEAR上の「認定エンドユーザー(VEU、注)」に認定されているサムスンとSKハイニックスの中国拠点向けの製品については、極端紫外線(EUV)露光装置など限られた製品を除くほぼ全てのEAR対象製品に対して包括的な許可を与え、個別の許可申請は不要というかたちにEARの一部を改定した。EARが再度改定されない限り、同措置に期間の制限はない。商務省のアラン・エステベス次官は「VEUは国家安全保障の目的を達成するための継続的なパートナーシップを確かなものにする重要なツールだ。今回の承認は韓国との緊密なパートナーシップと整合するものだ」とした上で、「特にメモリーチップで安全で透明性の高いサプライチェーンを強化する」との声明を出している。

(注)民生用途に関連した活動のみを行っており、商務省が国家安全保障上の利益を阻害する恐れがないと認定したエンドユーザー。EARで指定した品目をVEU向けに輸出などする場合には、個別の許可を取得せず行うことができる。BISの解説ページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも参照。

(磯部真一)

(米国、韓国、中国)

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