欧州中央銀行、11会合ぶりに主要政策金利を据え置き
(EU、ユーロ圏)
デュッセルドルフ発
2023年10月27日
欧州中央銀行(ECB)は10月26日、フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、3つの主要金利の据え置きを決定したと発表した。これまで10会合連続で主要金利を引き上げてきたため、11会合ぶりの据え置きとなる(2023年9月20日記事参照)。主要金利はそれぞれ、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)は4.50%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)は4.75%、預金ファシリティー金利は4.00%が維持される。
ECBは、インフレ率は依然として高すぎる状態が長く続くと予想され、国内の物価圧力も強いものの、インフレ率は強いベース効果などによって9月に大幅に低下し、基調的なインフレ率の指標が緩和されているとした。これまでの金利引き上げが、引き続き融資条件に反映されており、これによって需要がさらに減退し、インフレの押し下げにつながるとした。
ECBのクリスティーヌ・ラガルド総裁は記者会見で、今後の金利決定については今後発表される経済・金融データ、基調的なインフレ率の推移、金融政策の伝達の強さに照らしたインフレ見通しの評価に基づいて実施すると強調した。記者から、金利の引き下げのタイミングや下げ幅に関する質問を受けた際には、「今回の会合では全く議論されていない。引き下げの議論は全くの時期尚早だ。私たちは(金融を)安定させる必要があり、金利を維持した」と答えた。
(作山直樹)
(EU、ユーロ圏)
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