米カリフォルニアトラッキング協会、ガソリン車などの販売規制巡り加州を提訴

(米国)

ニューヨーク発

2023年10月20日

米国カリフォルニア州最大のトラック運送業界団体のカリフォルニアトラッキング協会(CTA、本部:サクラメント市)は10月16日、カリフォルニア州大気資源委員会(CARB)に対し、CARBが2023年4月28日に承認したアドバンスド・クリーン・フリート規制(Advanced Clean fleets Rule:ACF規制)の差し止めを求める訴訟を起こした。

ACF規制は、2036年以降のガソリンや軽油を燃料とする中・大型トラックの販売を禁止し、電気や水素などを動力源とするゼロエミッション車両(ZEV)のみ販売を許可する(2023年5月10日記事参照)。連邦政府機関や州政府、地方自治体が所有する車両のほか、年間総収入が5,000万ドル以上か、合計50台以上の車両を所有・運営・共同所有または管理するカリフォルニア州の法人に適用される。ドレージ車両(注1)、車両総重量定格が8,500ポンド(3,855キログラム)を超える中・大型トラックやターミナルトラクターに加え、郵便や荷物配達用の小型車両などが対象となる。

CTAはCARBを提訴した根拠の1つとして、ACF規制が連邦政府の環境規制を管轄する環境保護庁(EPA)の承認を得ていないことを挙げている(注2)。CTAのエリック・サワー会長は声明で「ACF規制に対するわれわれの異議は、計画不足や他の州政府機関との調整の欠如、存在しないインフラ、州の電力網に対する前例のない需要、いまだ開発途上の中・大型トラックの技術に対して段階的に義務化しようとするCARBの非現実的なタイムライン、複数の連邦法に違反する明らかに到達不可能な規制に基づくものだ」と述べている(政治専門誌「ポリティコ」10月16日)。また、トラック業界で米国最大の全米トラッキング協会も「ACF規制は現実から完全に乖離し、達成不可能な要件とスケジュールが設定されており、カリフォルニア州やそのほかの地域でサプライチェーンを停止させることになる。さらに言うと、ACF規制は州の法的権限を大幅に超えている。私たちは、その進行を阻止しようとするCTAの取り組みを全面的に支持する」(「コマーシャルキャリアジャーナル」電子版10月18日)として賛同する姿勢を示した。

(注1)コンテナ貨物を陸上輸送するトラック。

(注2)1970年制定の温室効果ガス(GHG)排出基準の根拠法。同法は州や自治体が独自に自動車の排出ガス規制を制定することを禁じているが、同法209条で、州の規制が連邦基準より厳しく、かつ、必要不可欠で特別な事情がある場合、連邦基準の適用免除を認めている。全米でこの適用免除を受けているのはカリフォルニア州のみ。ACFは10月16日時点で、EPAの適用免除を受けていない。

(大原典子)

(米国)

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