1~9月の乗用車生産台数、前年同期比11.5%増

(チェコ)

プラハ発

2023年10月23日

チェコ自動車工業会の10月17日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2023年1~9月の国内乗用車生産台数は前年同期比11.5%増の101万7,933台だった。新型コロナウイルス感染拡大前の2019年1~9月の106万7,109台は下回ったが、80万8,279台に落ち込んだ2020年以降は、毎年回復基調にある(添付資料図参照)。

1~9月の実績をメーカー別にみると、最大メーカーのシュコダ・オート〔フォルクスワーゲン(VW)グループ〕の生産台数は63万3,995台で、前年同期比で23.5%増加した(添付資料表参照)。同社は、スロベニアのエンジン用リングギアのサプライヤーが同国で9月に起きた洪水の被害を受けて部品供給が途絶えたことから、1週間にわたってクバシニ工場が生産を停止し、ムラダー・ボレスラフ工場でも一部生産が制限された。そのため、9月単月の生産台数は前年同月比5.5%減となった。トヨタモーター・マニュファクチャリング・チェコ(TMMCZ)の生産台数は12万9,638台にとどまり、前年同期比で17.3%減少した。同社は、チェコ国内のサプライヤーで発生した火災のためプラスチック部品の調達が滞り、9月に生産の長期停止を余儀なくされた。そのため、同月の生産台数は前年同月比77.3%減と大幅に低下した。現代チェコは生産台数25万4,300台で、前年同期比4.7%増と堅調な伸びを示した。

シュコダ・オートとTMMCZの生産の停止・制限の影響で、チェコの9月単月の生産台数は9万5,487台にとどまり、前年同月比23.7%減となった。このような状況にもかかわらず、1~9月では前年比増加を維持し、前年より1カ月早く100万台の生産台数を達成したことを同工業会は評価している。同工業会のマルチン・ヤーン会長はこれに関して、「100万台という重要な節目を前年より1カ月早く達成した事実は、チェコ自動車産業の活力と、その(新型コロナ感染拡大による)危機前の実績レベルへの回復を明白に裏打ちするもの」と述べた。

1~9月の電動車の生産台数では、バッテリー式電気自動車(BEV)が9万7,992台(全生産台数の9.6%)とプラグインハイブリッド(PHEV)が3万6,332台(同3.6%)で、計13万4,324台(同13.2%)だった。全生産台数に占める電動車の生産台数の割合は、前年同期の10.8%、2023年上半期(2023年1~6月)の12.4%から増大した。メーカー別では、シュコダ・オートが8万663台(BEV 6万6,004台、PHEV 1万4,659台)、現代チェコが5万3,661台(BEV 3万1,988台、PHEV 2万1,673台)となっている。なお、TMMCZはハイブリッド車(HV)を生産しているが、自動車工業会ではハイブリッド車の統計は公表していない。同工業会によると、同社の生産台数の約半分をハイブリッド車が占める。

(中川圭子)

(チェコ)

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