バイデン米政権、ハマス幹部らに制裁
(米国、イスラエル)
ニューヨーク発
2023年10月19日
米国のバイデン政権は10月18日、イスラエルを攻撃したイスラム原理主義組織ハマスの資金源を断つ目的で、同組織幹部ら9人と関連事業体1社を金融制裁対象の「特別指定国民(SDN)」に指定した。
アントニー・ブリンケン国務長官は声明で、今回の制裁対象について、「ハマスやその他のテロ組織を支援し、ハマスがイスラエルに対する今回のような非道な攻撃を行うことを可能にした」と指摘した。また、あくまで制裁はハマスとその支援ネットワークを対象にしたもので、パレスチナの人々を狙ったものではないと言明した。その上で、ハマスは直ちに人質を解放すべきだと強調した。制裁自体は財務省が発動しており、同省のプレスリリースによると、ヨルダン川西岸地区やスーダン、トルコ、アルジェリア、カタールを拠点とするハマスの財務担当者やハマス支援の資金ネットワークを取り仕切る人物がSDNの主な対象となっている。加えて、パレスチナ自治区ガザに拠点を置き、ビットコインを含む仮想通貨(暗号資産)の取引を扱うバイ・キャッシュ・マネー・アンド・マネー・トランスファー・カンパニーも対象となった。SDNに指定された個人・事業体には、在米資産の凍結や、米国人(注1)との資金・物品・サービスの取引禁止が科される(注2)。
ジャネット・イエレン財務長官は、ハマスの資金源を断つべく今後も必要な措置を全て取っていくとした。それら制裁措置には、同盟・友好国と連携して、それらの管轄権が及ぶ範囲でハマス関連の資産を凍結していくことも含まれるとしている。
(注1)米国市民、米国永住者、米国の法律に基づく、もしくは司法権が及ぶ域内に存在する法人(外国支所も含む)、もしくは米国内に存在するあらゆる個人を指す。
(注2)SDNが直接または間接的に50%以上所有する事業体も当該制裁の対象となる。SDN指定を今回受けた企業などの詳細は財務省のウェブサイトで確認できる。制裁対象に指定した個人・企業などについては、同省外国資産管理局(OFAC)のデータベースで確認可能。
(磯部真一)
(米国、イスラエル)
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