タイ中銀の8月経済金融報告、観光収入の好調を受け、引き続き回復傾向

(タイ)

バンコク発

2023年10月05日

タイ中央銀行(BOT)は2023年9月29日、8月の月例経済金融報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。8月のタイ経済は観光収入の拡大を背景に引き続き回復を維持した。他方、民間支出は消費、投資ともに、前月が大きく拡大した反動で、前月比(注)ではやや縮小した。外国人旅行者数(季節調整済み)も減少した。また、財輸出も貿易相手国の需要低下などを受けて縮小した。

工業生産指数は、前年同月比7.5%減となったが、前月比では0.1%増加し、ほぼ横ばいになった。項目別では、砂糖生産の増加に伴って食料・飲料の生産が3.5%増と伸張した。また、ハードディスクドライブ(HDD)のほか、化学肥料の生産が拡大したことから化学製品も伸張した。他方、自動車は好調だった前月の反動を受けて、前月比4.9%減となった。

需要面については、民間消費指数が前年同月比6.9%増、前月比0.5%減となった。ホテル、レストランの収入増などによりサービス消費が拡大する一方、燃料消費が含まれる非耐久財の縮小が影響した。民間投資は前年同月比3.5%減、前月比1.9%減となり、資本財の輸入が減少したことを背景に、機械設備投資が縮小したことが要因となった。

財輸出(金を除く)は前年同月比0.8%減、前月比1.6%減となり、ともに縮小した。貿易相手国の需要低迷が影響して農業加工品が減少、ドリアンの旬が終わったことによる生産減少が影響して、農産品が縮小した。他方で、石油関連製品や電化製品などでは改善が見られた。

8月の外国人観光客数は246万8,000人で、前月比3.7%減となった。中国からの観光客数の縮小が要因。一方で、日本、マレーシア、ドイツ、オーストラリアからの観光客数が伸びた。なお、観光収入については引き続き増加しており、外国人観光客の滞在期間が延びている影響を示唆した。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

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