IMF、ロシアの2023年のGDP成長率を上方修正

(ロシア)

調査部欧州課

2023年10月19日

IMFは10月10日、世界経済見通し改定版を発表した(2023年10月12日記事参照)。ロシアの実質GDP成長率は、2023年2.2%、2024年は1.1%になると予測。7月時点の予測と比較して、2023年は0.7ポイントの上方修正となったが、2024年の成長率を0.2ポイント下方修正した。

報告書は2023年のロシア経済について、労働市場が逼迫している中で大規模な財政支出、堅調な投資、消費の持ち直しが経済成長に反映していると評価した。

国連貿易開発会議(UNCTAD)は、ロシアの経済成長率は2023年2.2%、2024年は1.9%になり、鈍化すると発表している(2023年10月13日記事参照)。

IMFは報告書の中で、ロシア産原油輸出に対する西側諸国の制裁効果について分析した。G7が協調して導入した原油価格1バレル当たり60ドルを超えるロシア産原油の取引禁止措置(2022年12月6日記事参照)下でも、ロシア産原油の輸出量は安定し、ブレント原油とロシア産ウラル原油の価格差が縮小しているとした上で、60ドルを超える取引が行われていると指摘した。その理由として、ロシア産石油を運ぶ非西側諸国の石油タンカーが増加していることを挙げた。米国財務省は10月12日、ロシア産原油取引の上限価格違反に対し初の制裁を科し、取引に利用された船舶2隻と、船舶所有企業2社を特別指定国民(SDN)に指定している(2023年10月16日記事参照)。

(小野塚信)

(ロシア)

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