9月のCPI上昇率は前年同月比61.5%

(トルコ)

イスタンブール発

2023年10月10日

トルコ統計機構(TUIK)の発表(10月3日)によると、9月の消費者物価指数(CPI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)上昇率は、ほぼ市場予測どおりとなる前年同月比61.53%となった。他方、国内生産者物価指数(D-PPI外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)は47.44%にとどまった。

9月のCPI上昇率は、通貨トルコ・リラの減価や、7月の最低賃金の引き上げ(2023年6月23日記事参照)、増税(2023年7月11日記事参照)の影響もあり、前月比での上昇が続いており、9月は4.75%の上昇だった。

項目別にみると、サービス部門の価格上昇が著しく、2022年9月の前年同月比57.76%から86.46%に悪化した。特に新学期に向けた教育関連の物価上昇が交通費(95.97%)や不動産賃貸価格(95.03%)、教育費を含むその他のサービス(81.64%)に影響を及ぼしている。同様にレストラン・ホテル(92.48%)も改善していない。

商品別でも、食品・飲料の上昇が続いており、パン、穀類、生鮮野菜・果物価格の上昇もあり、前年同月比で75.14%増だった。また、原油価格の上昇やリラ安の影響も変わらず、エネルギーが前年同月比で10.25%の上昇となった。耐久消費財も、白物家電、家具などを中心に同65.61%と高水準にある。

他方、D-PPI上昇率は前月比3.40%、前年同月比ではベース効果で、前年同月の151.50%から47.44%の上昇にとどまった。D-PPIの上昇率もなお高水準にあるが、2023年第3四半期(7~9月)を通じてCPIの上昇を下回っており、コストプッシュ圧力は弱まっているとみられている。

政府が発表した中期経済計画では、2023年末時点のCPIを前年比65.0%と見込んでおり、第3四半期の上昇は想定内とされている。中央銀行のハフィゼ・ガーイェ・エルカン総裁は、インフレの低下が2024年5月に始まるとした。中銀は、2023年5月の大統領選挙前に8.5%だった政策金利を6月から4カ月連続で引き上げており、9月21日の金融政策会議外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは30%とした。このような中、格付け会社S&Pはトルコ格付けの見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上げ、トルコの政策転換を評価した。

なお、中銀の発表と同時に発表された独立調査機関ENAグループの調査結果によると、9月のCPIは前月比6.24%増、前年同月比130.13%増の上昇とされ、政府発表からはなお大きく乖離している。

(中島敏博)

(トルコ)

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