中央銀行、43品目の輸入外為規制を撤廃

(ナイジェリア)

ラゴス発

2023年10月24日

ナイジェリア中央銀行(CBN)は、10月12日に通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を出し、43品目の輸入に対する外為規制を撤廃した(注1、添付資料表参照)。この規制は、国内生産力の強化と外貨不足の解消を目的としたもの。対象品目は、2015年6月23日の通達PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)により、CBNによる公定レートでの外国為替の割当から除外され、並行市場で外貨を調達して輸入することが求められていた。

過去1年間の為替レートをみると、並行市場は1ドル=750ナイラ前後に対して、公定レートは1ドル=450ナイラ程度で、その差は300ナイラほどあった(添付資料図参照)。そのため、並行市場で調達するドルはその分コスト高になっていた。2023年6月に公定レートが変動制(注2)となったことで、7月上旬までには、並行市場のレートと公定レートはほぼ同じになったが、外貨不足から(注3)、公定レートでも外貨の割当が十分得られず、並行市場における外貨獲得需要が伸び、ナイラ安がさらに進んでいる。10月13日には、並行市場で1ドル=1,040ナイラ、公定レートで765.93ナイラと、再びその差が300ナイラほどに開いている。

先の43品目の輸入業者はかねて並行市場でのドル調達にのみ頼らざるを得なかったが、今回の規制撤廃により、制度上は公定レート(I&Eウィンドウレート)での取引が可能となったが、引き続き外貨の調達状況は厳しさが続いている。また、この規制撤廃は輸入外為規制に関するもので、別の定めにより輸入禁止とされている品目はナイジェリアに輸出ができないので注意が必要だ(注4)。

(注1)2015年6月23日の通達では、規制対象は41品目だったが、その後の改定を経て最終的に43品目になっている。

(注2)2023年6月13日以前は、海外との貿易・投資や海外旅行、学費などに要する外国為替など資金の用途によって公定レートが異なっていた。6月14日以降は、用途別の公定レートの設定を廃止し、I&Eウィンドウレートに統一された上で、売り買いでの変動制に移行した(2023年6月20日記事参照)。

(注3)ナイジェリアは、原油が輸出の8割を占め主要な外貨獲得源になっているが、近年では武装勢力による破壊行為で原油生産量が減少しているため、外貨不足が顕著となっている。直近の外貨準備高は、332億ドルと過去2年で最も少なくなっている。

(注4)輸入禁止対象は20品目、輸入規制対象は25品目(規制対象品目は、少量の私的利用目的に限り輸入が許されている)(ジェトロ貿易管理制度参照)。

(奥貴史)

(ナイジェリア)

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