ノースボルト、欧州北米事業拡大のため大規模資金調達を実施
(スウェーデン、米国、カナダ)
ロンドン発
2023年09月01日
スウェーデンのリチウム電池メーカーのノースボルトは8月22日、欧州と北米での事業拡大のため、12億ドルの資金を調達したと発表した。2022年7月の11億ドルの転換社債の延長として、オンタリオ州投資管理公社(IMCO)、米資産運用会社ブラックロック、カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)など北米の投資家から支援を受ける。
今回の増資により、過去7年間で90億ドル以上の資金を調達したことになると報じられている(ロイター、8月22日付)。
同社は電気自動車(EV)用のバッテリーを製造しており、グリーン転換に必要なバッテリーを供給する欧州の主要候補として急速に台頭してきている。2022年5月からスウェーデンでバッテリーのギガファクトリーが稼働し、フォルクスワーゲン(VW)、BMW、スカニア、ボルボを含む顧客へ製品を納入している。
また、蓄電池事業にも進出しており、ポーランドの施設で初めて電力貯蔵システム(ESS)製品を製造し、生産ラインの最終確認を経て2023年後半に顧客に納入を開始することも、今回の発表で併せて発表した。
スウェーデン企業のエネルギー投資加速
スウェーデン企業によるエネルギー関連投資は引き続き活発な状況にある。オロン・エナジーは2023年3月、英国で初期段階の再生可能エネルギープロジェクトの立ち上げを発表した。送電網を確保し、太陽光発電と蓄電池に関するプロジェクトを実施する。同社は2023年初め、フランスとドイツにも事業を拡大しており、スウェーデン企業として欧州での長期的な成長の基盤を確保する狙い。
スウェーデンの総合エネルギー企業バッテンフォールは2023年7月、ドイツの太陽光発電デベロッパーのソライザーの買収を発表。この買収により、同社のドイツでの太陽光発電は4ギガワット(GW)拡大し、合計7GWに達する。太陽光発電は二酸化炭素(CO2)排出の少なさに加え、近年、コストが大幅に低下し、現在では最も安価な発電形態の1つになっていることから、同社は、欧州のエネルギーシステムを変革する上で大規模太陽光発電所が重要な役割を果たすとしている。
(松丸晴香)
(スウェーデン、米国、カナダ)
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