政府4部門、経済情勢に関する見解発信
(中国)
北京発
2023年09月22日
中国国務院新聞弁公室は9月20日、定例記者説明会を開催。国家発展改革委員会と、工業情報化部、財政部、中国人民銀行(中央銀行)の各責任者が経済情勢と政策について解説した。
中国政府発表の総括では、各種政策による相乗効果が徐々に表れており、8月は経済回復が続き、主要な経済指標が改善していると評価した。また、物価水準、需要の回復、経済成長、マネーサプライなどの各要素に鑑みると、中国経済にはいわゆるデフレーションは存在せず、将来的にもデフレーションは発生しないと示した。
国家発展改革委員会は経済の回復状況を強調した。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大から3年が経った今でも、中国の経済運営はさまざまな内外要因の影響を依然として受けており、経済回復は必然的に曲折しながら前進するものとした。1998年のアジア通貨危機や2008年のリーマン・ショックに直面した際も、中国経済は堅固だっただけでなく、それに対応することでさらに発展し、常に新たなステージへと飛躍してきたと説明した。
中国人民銀行は、国際情勢は複雑に変化し、世界の外国為替市場には大きな変動があるとした上で、人民元の対ドルよりも通貨バスケット相場(注1)を注視すべきと指摘した。9月15日のCFETS人民元レート指数(注2)は98.51で、6月末(96.74)から1.8%上昇した。米ドルの上昇を受けて対米ドルの為替レートは下落したが、7月中旬以降の国内経済の着実な改善により、人民元は通貨バスケット相場に対し上昇し、米ドル以外の通貨に対しては相対的に高水準を維持していると解説した。
民間投資に関し国家発展改革委員会は、民間投資の目標を明確にし、投資促進を目的とした民間資本のプロジェクト推薦プラットフォームが正式に稼働し、プロジェクト数は4,800以上で、総投資額は約5兆2,700億元(約105兆4,000億円、1元=約20円)に達したと紹介した。また、民間投資における各種課題の収集や解決を目的とした「民間投資課題反映コラム」を開始し、プロジェクト初期における手続きなど共通課題に対し、関係者が制度や方針の「制定・改廃・解釈」を速やかに行うよう促すとした。
工業情報化部は、ハイエンド機器製造業の発展が特に目覚ましく、航空機・ロケットや電子工業専用設備、新エネルギー車が好調と解説。高品質・高付加価値のハイエンド機器製品の国際的競争力が向上し、輸出に新たな勢いを与えているとした。また、財政部は、一部の地方は経済発展が十分ではなく、財政運営が逼迫していると指摘。それに対し、中央から地方への財政移転、財政資金直接交付メカニズム(注3)、財政運営の監督強化の3つの分野で対策を講じているとした。
(注1)今回の定例記者説明会での中国人民銀行の発表によると、現在、通貨バスケットは24通貨で構成されており、当該国・地域の貿易総額は中国全体の6割以上を占める。その中でもドル(構成比19.8%)、ユーロ(18.2%)、日本円(9.8%)の割合が比較的大きい。
(注2)中国人民銀行傘下の為替市場運営機関の中国外貨取引センター(CFETS)が通貨バスケットを基に算出する指標。2014年12月31日を基準値(100)としている。
(注3)財政資金の監督管理と国庫管理を強化し、財政資金を市場主体へ直接届けることの確保を目的として設置されたメカニズム。2020年に新型コロナウイルス感染拡大を受けた経済対策として臨時に設置されたものが、2021年に正式に制度化された。
(亀山達也)
(中国)
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