イドム、オーストラリアでデジタル新技術活用した中古車販売で売り上げ増

(オーストラリア、日本)

シドニー発

2023年09月20日

中古車販売の「ガリバー」を展開するIDOM(本社:東京)のコーポレートベンチャー部門のイドム・イノベーションズ(IDOM Innovations)は、オーストラリアでデジタル技術を使った中古車売買プラットフォーム事業を手掛けている。ジェトロは98日、メルボルン現地法人のイドム・イノベーションズの最高経営責任者(CEO)の宇田川貴功氏に、オーストラリアでの事業について話を聞いた。

写真 宇田川貴功CEO(イドム・イノベーションズ提供)

宇田川貴功CEO(イドム・イノベーションズ提供)

オンライン上で中古車の売り手(個人、法人)と買い手(プロのバイヤー)が売買可能なマッチングプラットフォーム「AUTO-FLIP」を2018年に立ち上げた。現在までの3年間で中古車販売台数が3倍に増加し、売り上げも好調だ。透明性のある中古車流通を実現するため、取引に必要な知見をデータとテクノロジーで標準化し、オペレーションに組み込むことを実現した。例えば、オンライン売買では、実際に自動車の状態を直接見て確認できないデメリットを解決するため、インドのスタートアップが開発した、スマートフォンで撮影した車の画像から人工知能(AI)を活用し車の傷とへこみの解析技術を採用した。同社は積極的にさまざまなスタートアップとの連携を進める方針だ。また、ビクトリア州政府補助金も活用しつつ、ロイヤルメルボルン工科大学(RMIT)と連携し、録音した車のエンジン音から現在のエンジン状態を解析する技術も導入予定だ。年式や走行距離などの情報と、エンジン音から解析したエンジンの状態を比較し、正確な中古車価格査定の仕組みを構築する。

オーストラリアを進出先に選んだ理由として、現地で日本車への信頼が高い点や、移民が多くグローバルな展開に向けてさまざまな消費パターンを分析できる点、ビジネスを展開する上で規制が少ない点を挙げた。宇田川CEOはさらに「(日本と比較し)新しい技術はとりあえず使ってみるというオープンな雰囲気があり、フィードバックも(包み隠さずに良いか悪いかはっきりしていることで)シンプルでやりやすい」と述べた。メルボルンを拠点とした理由は、もともと多くの自動車工場が拠点としてきた州で、さまざまなパートナーと連携がしやすい点、そしてビクトリア州政府の担当者が親身に相談に乗ってくれたことが大きかった。また、同州にはRMITのほか、メルボルン大学、ディーキン大学、モナシュ大学など、国際企業と研究開発の実績がある大学との連携機会にも恵まれているという。宇田川CEOは「今後このビジネスモデルを東南アジアなどオーストラリア国外でも展開することを検討している」と抱負を述べた。

(青島春枝)

(オーストラリア、日本)

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