タイ商業・工業・銀行合同常設委員会(JSCCIB)、GDP見通しを下方修正

(タイ)

バンコク発

2023年09月14日

タイの主要経済3団体で組織するタイ商業・工業・銀行合同常設委員会(JSCCIB)は97日、経済情勢に関する会合を開催し、2023年のGDP見通しを2.53.0%(前月時点の見通し3.03.5%)に下方修正した。また、輸出の成長率はマイナス2.0~マイナス0.5%(同マイナス2.00.0%)、インフレ率は1.72.2%(同2.22.7%)とし、ともに下方修正となった。

タイ国家経済社会開発庁(NESDC)によると、2023年第2四半期(46月)のGDP成長率は前年同期比1.8%にとどまり、JSCCIBによる予想の3.1%を大幅に下回った。輸出成長率の前年同月比も10カ月連続でマイナスとなっている。加えて、政府支出も予算執行の遅れにより、前年同月比で縮小傾向が続いている。観光部門も、外国人観光客の1人当たり消費額が例年より約13%、国内観光客の1人当たり消費額が例年より約33%低く、観光収入は予想を下回っている。

JSCCIBは政府に対し、3%のGDP成長率を達成するため、電力・エネルギー価格の引き下げや、外国人観光客数を少なくとも3,000万人に増やすなどの景気刺激策を導入するよう求めている。特に観光業は経済成長の牽引役になるとみており、政府に対して、観光を活性化させる施策として、外国人観光客のビザ取得無料化や、国の安全に対する信頼性を高める施策を導入するよう提案している。

さらに、JSCCIBは、諸外国との貿易状況がタイの輸出減速をもたらしているとして懸念を表明した。また、安価で規格外の製品の流入が国内の産業部門に影響を与え、売り上げの減少に直面しているとした。こうしたことから、JSCCIBは政府に対して、タイ工業規格協会(TISI)と税関が連携し、規格外輸入品の検査を強化するよう提案している。同時に、輸出業者へのサポートも必要とし、税関手続きの合理化と迅速化にも取り組むべきとも主張した。

(ピンラウィー・シリサップ、藤田豊)

(タイ)

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