第2四半期のGDP成長率は前期比0.6%、電力インフラ改善の投資増加

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2023年09月21日

南アフリカ共和国統計局は95日、2023年第2四半期(46月)の実質GDP成長率(前期比、季節調整済み)を0.6%と発表した(添付資料表1参照)。第1四半期(13月)の0.4%に続き、連続してプラス成長となった。統計局の発表によれば、プラス要因は製造業、農業、および金融・保険・不動産業・企業サービスなど6業種が好調だったことと、再生可能エネルギー関連製品を含む設備投資が増加したことだ。家計消費全体は減少したものの、外食や観光への支出は増加した。

2四半期の実質GDPを産業別でみると、製造業は前期比2.2%増のプラス成長だった。特に、石油、化学製品、ゴム・プラスチック製品が好調だった。粗鋼の需要増の影響を受け、金属・機械製品も好調だったのに加え、自動車産業の投資が増え、自動車・部品の生産が増加したことも製造業全体のプラス成長に貢献した。農林水産業は、2四半期連続のマイナス成長から一転して前期比4.2%を記録した。良好な天候や耕作面積の増加、輸出需要増も成長を下支えした。GDPへの貢献度が高い金融業は前期比0.7%増だった。

需要項目別では、民間最終消費支出を除く全ての項目がプラス成長となった(添付資料表2参照)。民間最終消費支出は前期比0.3%減だった。食料品および非アルコール飲料への支出がマイナスだったのが大きな要因だが、交通や外食などへの支出はともに0.2%増とプラスだった。総固定資本形成は、電力インフラの改善のために各社が設備投資(発電機や再エネ関連製品の購入など)を行ったことで3.9%増となった。統計局によれば、再生可能エネルギー関連の機械設備の一部は輸入されたため、財・サービスの輸入(前期比3.3%増)にも貢献した。

しかし、南アの金融大手ネドバンクのエコノミストは、2023年の経済見通しは暗いと評している。停電は若干、改善傾向にあるものの、国内および先進国の金利上昇や中国の景気回復の鈍化などによる世界需要の減速が南ア経済にマイナスに影響するとした。2023年のGDP成長率は0.6%程度と予想しているが、下振れリスクは依然として残る。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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