米司法省、スペースXを難民と亡命者の雇用差別を理由に提訴

(米国)

調査部米州課

2023年09月01日

米国司法省は8月24日、米航空宇宙企業スペース・エクスプロレーション・テクノロジーズ(スペースX、本社:カリフォルニア州ホーソン)を、移民国籍法(Immigration and Nationality Act)違反として提訴した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます移民国籍法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますの下では、法律、規則、大統領令、または政府契約によって要求されない限り、雇用主は亡命者や難民を不当な理由で不採用とすることはできない。司法省は、同社が少なくとも2018年9月から2022年5月にかけて、亡命者や難民に対して市民権の状態を理由に、採用や選考を差別的に拒否したとしている。

同省は、スペースXによる差別的な行動として、次の4つを例示している。

  • 亡命者と難民を公示、求人応募、その他のオンライン募集のコミュニケーションから排除することで、募集職種への応募を抑制した。
  • 亡命者や難民が提出した応募書類を公正に検討しなかった。
  • 資格を満たした亡命者や難民の応募者の採用を拒否し、応募者の市民権の状態を理由に、複数回にわたって不採用にした。
  • 2018年9月から2020年9月まで、米国市民と合法的永住権保持者のみを雇用した。

スペースXはITスペシャリスト、エンジニア、ビジネスアナリストなどのほか、溶接工、コック、クレーンオペレーターなど、さまざまな職種を募集・採用しているが、この訴訟で争点となっている職種は、高度な学位を必要とするものに限らない。

司法省はスペースXに対し、差別を理由に同社での雇用を抑止または拒否された亡命者、難民に対する公正な対価と給与をさかのぼって支払うことを求めている。また、民事罰に基づく罰金に加え、今後、亡命者や難民の採用の際に移民国籍法を順守した方針を策定するよう要求している。

(谷本皓哉)

(米国)

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