連邦政府、太陽光発電設備の拡大に向けた改正法案を閣議決定

(ドイツ)

デュッセルドルフ発

2023年09月11日

ドイツ連邦政府は8月16日、経済・気候保護省が提示した「ソーラーパッケージ(Solarpaket)」法案を閣議決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同法案は2023年5月発表の「太陽光発電戦略」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを実行するためのさまざまな法改正をまとめたもので、太陽光発電(PV)設備の普及を加速させることが目的。例えば、農業用地や駐車場などにPV設備を設置する土地の二重利用の促進や、煩雑な行政事務手続きの削減によるPV設備の導入促進措置などを盛り込んでいる。

連邦政府は、再生可能エネルギー法(EEG)により、PV設備の設置容量を2030年中に215ギガワット(GW)とする目標を掲げている。また、EEGは2024年中に88GW、2026年中に128GW、2028年中に172GWと、PV設備の設置容量の中間目標も定めている。上述の「太陽光発電戦略」では、EEGの定めるPV設備設置容量の目標達成には、2026年以降は年間で22GWの新規設置容量が必要との計算が示されている。これは2022年の導入実績7.3GWの約3倍の規模だ。

「ソーラーパッケージ」法案では、用地の有効活用として、土地の二重利用を可能にする特殊PV設備(農地・駐車場・水上・泥炭地用PV設備)を導入する。また、商用施設の屋上用PV設備設置の手続きを簡易化する。従来は、電力系統への供給容量が135キロワット(kW)以上となる場合、設備証明を取得する必要があったが、これを270kW超(または設置容量500kW超)に引き上げる。当該値を下回る設備は、手続きがより簡易な証明を取得すれば導入可能となる。さらに、一般住宅のバルコニーなどに設置する小型のPV設備の申請手続きも簡易化する。電力網事業者への事前登録を廃止し、入力項目を少なくしたデータベースへの登録のみとする。

ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は法案の閣議決定時の記者会見で「太陽光発電拡大には一層のスピードアップが必要で、官僚主義を取り払う必要がある」とコメントした。

同法案は今後、連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で審議される。9月8日現在、審議日程は未定。

(作山直樹)

(ドイツ)

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