ALPS処理水の放出を受け、海洋モニタリングの基準値と検査結果を公開

(台湾)

調査部中国北アジア課

2023年09月01日

台湾の海洋委員会は8月29日、東京電力福島第1原子力発電所のALPS処理水の放出を受け、「台湾は2020年以前から省庁横断的に海洋環境と生物の動向を厳格にモニタリングしているため、安心してほしい」と台湾の人々に呼びかけた。

台湾は、ALPS処理水放出に先立ち、2022年7月に原子力委員会と関連省庁が連携して「放射性物質海域拡散海洋情報プラットフォーム」を立ち上げて関連情報をモニタリングし、検査結果を公表している(2023年8月31日記事参照)。このほか、台湾では2022~2023年にかけて3度、専門家が福島第1原発を視察しており、視察の結果は国際原子力機関(IAEA)の評価と一致していたとした。海洋委員会は、視察団の見解として、日本のALPS処理水は多核種除去設備(ALPS)での処理後、トリチウム濃度は1,500ベクレル/リットルより低く、世界保健機関(WHO)の基準10,000ベクレル/リットルを十分下回るレベルだと説明した。

また、台湾のトリチウム濃度の基準値は1,000ベクレル/リットルで、WHOの基準値よりも10倍厳しいが、2020年以降これまで20万件を超える検査を実施し、基準値を超えたことはないとした。

(江田真由美)

(台湾)

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