鹿島建設、新自社ビル拠点にスタートアップ支援プログラム開始

(シンガポール)

シンガポール発

2023年09月25日

鹿島建設は9月14日、シンガポール東部の新自社ビル「ザ・ギア(The Gear)」で、起業間もないスタートアップを支援し、新規ソリューションを共創するアクセラレーションプログラムの開始を正式発表した。

同社の第1回の同プログラムに参画するのは、高層建造物の清掃を行う「スピンオフ・ロボティクス」や、コンクリートの強度をリアルタイムで把握する「コンクリートAI」など、建設関連の地場スタートアップ8社。同プログラム期間の6カ月間、ザ・ギア内での実証実験のほか、鹿島建設の国際的なネットワークを活用するなどして、新規ソリューションや商品の開発に取り組む予定だ。

シンガポールに拠点を置くテック系のスタートアップは、約4,795社(注)。鹿島建設は2021年8月、同国にコーポレート・ベンチャーファンド「鹿島ベンチャーズ」を設立。また、同社は2023年2月、地元公立大学のシンガポール経営大学(SMU)と環境配慮型の建築分野での起業家育成や共同研究などで覚書(MOU)を締結するなど、同国での産学連携やスタートアップとの協業の強化を図っている。

鹿島建設は同MOUの一環として、SMUが隔年開催しているスタートアップのピッチ大会「リークアンユー・国際ビジネスプラン・コンペティション(LKYGBPC)」で、2023年の大会から、「鹿島建造環境イノベーション賞」を創設。9月14日に、同自社ビルで行われたイベントでは、同賞の最終選考に選ばれた地元や米国、ドイツの太陽光パネルや持続可能な建築資材などを手掛けるスタートアップの最終ピッチも行われた。経済開発庁(EDB)のジャクリーン・ポー長官は同日のイベントでの演説で、同社とSMUとの連携に言及し、「産業界やスタートアップ、学識界との間の強いパートナーシップによって、持続可能な素材、グリーンエコノミー、環境テックにおける付加価値創出が加速できる」と期待を示した。

写真 アクセラレーションプログラムに参加するスタートアップ8社と記念撮影するカジマ・アジア・パシフィック・ホールディングスの越島啓介社長(左から4人目)と、EDBのジャクリーン・ポー長官(その右)(ジェトロ撮影)

アクセラレーションプログラムに参加するスタートアップ8社と記念撮影するカジマ・アジア・パシフィック・ホールディングスの越島啓介社長(左から4人目)と、EDBのジャクリーン・ポー長官(その右)(ジェトロ撮影)

鹿島建設の新自社ビル、地域統括本部とイノベーション機能を併設

鹿島建設の自社ビル、ザ・ギアは、地上6階建て(延床面積:1万3,061.17平方メートル)。アジア地域統括本社の機能だけでなく、研究開発(R&D)センターと、スタートアップや大学などとのオープンイノベーションの機能を併せ持つ。同ビルは、2020年8月に着工し、2023年3月に竣工(しゅんこう)。同年8月4日に正式開業していた。

(注)中小企業、貿易振興政府機関エンタープライズシンガポールが運営する包括的なスタートアップ情報、ネットワーク・サイト「スタートアップSG外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に登録するスタートアップの数(2023年9月時点)。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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