ゼレンスキー大統領が訪米を終了、米議会からは支援予算の確約取れず

(米国、ウクライナ、ロシア)

ニューヨーク発

2023年09月25日

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は9月21日、国連総会出席を契機とした米国への訪問を終了した。

ゼレンスキー大統領の今回の訪米で特に注目されたのが、米国連邦議会で審議中の2024会計年度連邦政府予算案において、バイデン政権が要求した240億ドルのウクライナ支援について共和党指導部を説得できるかという点だった。特に歳出削減を求める共和党議員の一部が反対しており、政権の要求どおりの成立は厳しいとみられている。

国連総会後にワシントンへ移動したゼレンスキー大統領は米国議会で、上下院の民主・共和両党の指導者と会談をもった。ゼレンスキー大統領は2022年12月に訪米した際に、連邦議事堂で演説を行っており、今回もその機会を求めたとされるが、ケビン・マッカーシー下院議長(共和党、カリフォルニア州)が、予算案審議のため時間が取れないことを理由に断ったと明かしている(政治紙「ザ・ヒル」電子版9月21日)。ゼレンスキー大統領と議会指導者との会談内容は明らかになっていないが、大統領は会談後のインタビューで、マッカーシー議長はウクライナを支援すると発言したと述べている。一方のマッカーシー議長は、同じく会談後のインタビューでその点には明確に触れず、ウクライナ支援予算も精査したいがその他にも優先事項があると述べるにとどまった。

ゼレンスキー大統領はホワイトハウスも訪問し、ジョー・バイデン大統領と会談を行った。ホワイトハウスの会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、バイデン大統領はロシアによる侵攻が続く限りウクライナの防衛を支援し続けることを強調し、追加的な防空能力の提供を含む新たな支援策外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますについて伝えた。また、ウクライナの経済復興を支援するために、元商務長官のペニー・プリツカー氏を特別代表に任命したことを明かした。ゼレンスキー大統領からは、ウクライナにおける腐敗撲滅の計画について説明したとしている。

米国議会では2024会計年度予算が、期日の9月30日までに成立しない見通しが強まっている。そうした中、ウクライナ支援のためにどの程度の予算が確保されるか、今後の審議の行方が注目される。

(磯部真一)

(米国、ウクライナ、ロシア)

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