米国西海岸港湾の新たな労働協約が賛成75%で批准、労使関係を巡る不安解消へ

(米国)

ロサンゼルス発

2023年09月04日

国際港湾倉庫労働者組合(ILWU)は8月31日、経営者側の太平洋海事協会(PMA)との新たな労働協約が批准されたと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同協約は、ILWUの組合員の75%が賛成票を投じたとされ、ILWUの投票委員会によって同日認定された。同協約は2028年7月1日まで有効とされ、米国西海岸の29の港湾において、高賃金の雇用を守りつつ、医療費の給付を維持し、賃金、年金、安全保護を向上させるとしている。

ILWUのウィリー・アダムス会長は「この協約の交渉は長期化し、困難なものだった。組合員の力強さ、交渉委員会のビジョンと粘り強さ、そしてILWUとPMAにこの結果を得るために必要な期間を与えてくれた支援者に感謝している」と述べている。

また、ロサンゼルス市のカレン・バス市長は「この新たな協約は、ロサンゼルス港の運営と高賃金の雇用が継続することを保証するものだ。新たな協約が承認された好影響は、地域、西海岸、そして米国全体に及ぶだろう」と述べている。

米国西海岸の港湾では、労働条件などを定めた労働協約が2022年7月1日に失効して以降、PMAとILWUとのターミナル荷役施設の自動化や賃金に関する交渉が難航していた(2023年6月5日記事参照)。こうした中、労使交渉は2023年6月14日に暫定合意に達し(2023年6月16日記事参照)、8月15日から17日にかけて当該暫定合意の受諾を労働者に問う投票が行われたとされていた(2023年8月24日記事参照)。

今般の新たな労働協約批准によって、労使関係を巡る不安が解消されることなどに伴い、今後、米国東海岸やメキシコ湾岸の港湾にシフトした貨物が米国西海岸にどの程度回帰するかが、引き続き注目される。

(堀永卓弘)

(米国)

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