バイデン米大統領、イスラエルのネタニヤフ首相と初の対面会談、司法改革に関する懸念表明も

(米国、イスラエル)

ニューヨーク発

2023年09月22日

米国のジョー・バイデン大統領は9月20日、ニューヨークで開催されている第78回国連総会に参加したイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と2国間の首脳会談を行った。ネタニヤフ首相が2022年12月に就任して以降、初の対面会談となる。

ホワイトハウスの会談要旨外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、バイデン大統領からは、民主的価値観に基づく両国間の不可侵な絆と、米国のイスラエルに対する安全保障上の揺るがないコミットメントを再確認した。その延長で両首脳は、イランが核兵器を保有することがないように協力を続けることの重要性を確認した。このほか、インドで開催されたG20サミットで、バイデン大統領が主導し、インドや中東諸国、EUなどのG20パートナー国と覚書に署名した「インド・中東・欧州経済回廊(IMEC)」が今後、中東地域全体にもたらす利益について意見交換を行った。

一方、バイデン大統領はネタニヤフ首相に、主に2点の懸念を表明した。1点目は、ヨルダン川西岸地区で継続している緊張と暴力についてだ。イスラエル軍が7月にパレスチナ側のテロを理由に過去20年間で最大規模の軍事作戦を実施するなど、同地区は不安定な状況が続いている(2023年7月4日記事参照)。バイデン大統領は、同地区の安定とイスラエルとパレスチナ双方の間での和平促進のために迅速な措置が取られるべきと強調した。2点目が、ネタニヤフ首相が主導しているイスラエルの司法制度改革についてだ。同国では7月に司法制度改革の一環として、政治家の議決の妥当性を最高裁判所が審議することを阻止する法案が国会で可決された(2023年7月26日記事参照)。バイデン大統領はこれを受け、イスラエルの民主主義制度が可能な限り広範なコンセンサスを得ないまま根本的に変更されることに懸念を示したとしている。米国の主要メディアは、会談場所がネタニヤフ首相の希望したホワイトハウスではなく、ニューヨークになった背景には、バイデン政権がイスラエルに対して抱いている懸念の表れだと考えられると論評している。ただし、バイデン大統領からは会談の最後に、ネタニヤフ首相を2023年末までに首都ワシントンへ招待する意向が伝えられた。それまでに困難な課題について議論の進展がみられるか注目される。

(磯部真一)

(米国、イスラエル)

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