アマゾン、出品者向けのサプライチェーンサービス拡大を発表

(米国)

サンフランシスコ発

2023年09月19日

米国アマゾンは9月12日、EC(電子商取引)サイト出品者向けのサプライチェーン管理サービス「サプライチェーン・バイ・アマゾン」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同サービスは、アマゾンが製造拠点からの在庫回収や国内外への輸送、通関手続き、倉庫での保管、そして顧客までの配送などを、ECサイトへの出品者に代わって行うものだ。アマゾンはこれまで、サプライチェーンを管理するサービスとして「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA、注1)」を提供していたが、さらに広範囲にわたってサポートを提供することとなる。

発表によると、「サプライチェーン・バイ・アマゾン」はアマゾンのみならず、それ以外の販売チャネルの在庫管理にも対応する。アマゾンは、同サービスを利用することで物流コストの削減と配送までの時間を短縮化し、出品者は商品の開発とビジネスの成長に注力できるようになるとしている。

同社によると、サービス利用によって得られる主なメリットは次のとおり。

  1. アマゾンの国際輸送サービス「アマゾン・グローバル・ロジスティクス(AGL)」の割引:アマゾンの在庫管理サービス「アマゾン・ウェアハウジング・アンド・ディストリビューション(AWD、注2)」向けの国際輸送にAGLを利用した場合、最大25%の割引価格を適用。
  2. 「パートナード・キャリア・プログラム(PCP、注3)」の活用によるAWDセンターへの輸送コストの合理化:アマゾンは、国内輸送時にPCPを利用することで、他の輸送会社と比べて最大25%輸送コストを削減可能。
  3. 値下げ価格でのAWDの提供の拡大:FBAで設定されていた保管料と比較して、最大80%の割引価格でAWDに保管することができる。ブラックフライデー(注4)からクリスマスにかけての年末商戦期間が含まれる第4四半期であっても、倉庫のピーク価格が設定されないため、出品者は在庫をより効率的に管理することができる。
  4. 「マルチチャネル・ディストリビューション(MCD)」サービスの提供:出品者が商品をAWDからオンラインストアや実店舗を含むあらゆる販売チャンネルに補充可能となるサービスを、2023年後半に全ての出品者に提供できる予定。
  5. FBAによる在庫補充の自動化:高度な機械学習とサプライチェーン最適化により、適切な場所にあるアマゾンのフルフィルメントセンターに適切な量を自動的に補充する。注文日当日やその翌日に配送できる可能性が高まることで、平均15%の売り上げ増に寄与する。

なお、ジェトロでは、2021年からアマゾンジャパンと連携し、米国アマゾンおよび英国アマゾン上に「JAPAN STORE」を展開しており、参加事業者を募集している。世界各地でオフラインでのPRイベントも実施し(2023年7月14日記事参照2023年8月28日記事参照)、販売実績をあげている。

(注1)アマゾンが自社の物流拠点に納品された商品について、その注文の受注や梱包(こんぽう)、発送、カスタマーサービス、返品対応を代行するサービス。

(注2)アマゾンの倉庫サービス。アマゾンの配送センターに在庫を保管し、シームレスに商品を一括配送する。

(注3)FBAを利用する出品者に対し、アマゾンと提携する運送会社に支払う配送費を割引価格で提供するプログラム。2023年後半にサービスの提供を開始するとしている。

(注4)米国の年末商戦の始まりとされる、感謝祭(11月の第4木曜日)の翌日。例年、多くの消費者が買い物をする(2022年11月30日記事参照)。

(芦崎暢)

(米国)

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