ジェトロ、オープンイノベーション目指し、バルト3国にミッション派遣

(エストニア、ラトビア、リトアニア、日本)

ワルシャワ発

2023年09月19日

ジェトロは938日、バルト3国(エストニア、ラトビア、リトアニア)の日本大使館、貿易投資促進機関(注1)の協力の下、各国の先端分野とのオープンイノベーションを創出するため、「J-Bridge バルト3DXミッション2023」(注2)を派遣した。20189月以来5年ぶりとなるジェトロのバルト3国ミッションには、商社、金融、IT、コンサルタントなど多業種から1415人が参加した。各国の工科大学やイノベーション支援機関、スタートアップへの訪問のほか、日本大使公邸でのネットワーキングレセプション、ビジネスカンファレンス(注3)などを実施した。

エストニアでは、宇宙線に起因する素粒子ミューオンを使用したスキャン技術を開発するスタートアップのGスキャンを訪問。同社のスキャン技術はX線と比較して、精度、人体への安全性、浸透性が高い点が特徴だ。建造物の異常点検に活用できるため、インフラ投資を行う参加企業から関心が寄せられた。

ラトビアでは、独自のコーティング技術を使用した触媒材料を開発し、より安価で効率的な水素製造を目指すスタートアップのナコ・テクノロジーズを訪問。同社は研究開発から生産段階に移行しており、エネルギー移行の観点から参加企業からの注目を得た。

リトアニアでは、バルト3国の主要な工科大学の1つカウナス工科大学を訪問。同大学は2021~2025年の戦略に関する文書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で、(1)産業変革、(2)デジタルトランスフォーメーション(DX)、(3)スマートシティーとレジリエントコミュニティーを優先分野としており、同国の大学の中では最大の研究開発補助金をEUから受給しているという。研究事例として、光学デバイス向けの有機化合物や高効率の太陽光パネルなどの説明を受けた。

参加企業からは、「バルト3国の情勢や人材の質の高さを実感した」「3国を一気に見たことで、各国の比較がしやすかった」「非常にレベルの高いスタートアップ企業を数多く知ることができた」といった声があった。

写真 ラトビアでのビジネスカンファレンス(ジェトロ撮影)

ラトビアでのビジネスカンファレンス(ジェトロ撮影)

写真 リトアニアでのビジネスカンファレンス(ジェトロ撮影)

リトアニアでのビジネスカンファレンス(ジェトロ撮影)

(注1)エンタープライズ・エストニア、ラトビア投資公社、イノベーション・エージェンシー・リトアニア

(注2)「ジャパン・イノベーション・ブリッジ(J-Bridge)」は、ジェトロが実施する日本企業とスタートアップなどの海外企業の国際的なオープンイノベーション創出のためのビジネスプラットフォーム。

(注3)エストニア側から約40人、ラトビア側から約50人、リトアニア側から約70人が参加。

(柴田紗英)

(エストニア、ラトビア、リトアニア、日本)

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