タイ商務省が韓国、スリランカ、太平洋同盟とのFTA進捗を公表

(タイ、韓国、スリランカ、中南米)

バンコク発

2023年09月11日

タイ商務省貿易交渉局(DTN)は829日、韓国のソウルで同月25日に実施した産業通商資源部(MOTIEFTA(自由貿易協定)政策局との会合結果を明らかにした。同会合では、韓国との2国間経済連携協定(EPA)の締結可能性などが議論された。タイと韓国の間では現在、ASEAN韓国FTA、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が締結されている。

DTNによると、既存の協定では、タイから韓国への輸出品の一部で関税が撤廃されていない。例として、冷凍・加工鶏肉や冷凍・加工水産品、動物飼料、果物(マンゴー、グアバ、マンゴスチン)、ソース・調味料、天然ゴム、タイヤ、ゴム手袋などがある。新たなEPAにより、タイはこうした物品の輸出拡大を期待している。また、韓国からタイへの電気自動車(EV)や電気部品、情報技術分野の投資誘致にも追い風になる。

スリランカとのFTAは中間地点に

DTN828日、スリランカとの第6回交渉(82123日、バンコク開催)についても結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。全体でみると、交渉は妥結への道のりの中間地点を越えたという。双方は2023年内の妥結を目指し、10月、11月、12月に3回の協議を行うことで合意した。署名は2024年初めとなる見通しを示した(スリランカ政府は20242月と発表、2023年9月6日記事参照)。

太平洋同盟とのFTA調査結果を発表

太平洋同盟(PA、注)とのFTAについては、実現可能性(FS)調査の結果が822日に公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますされた。調査はモンクット王工科大学北バンコク校(KMUTNB)が実施した。調査結果によると、PAとのFTAにより、タイのGDP0.04%増加するという。タイとPA間の貿易は2022年比で16.75%(約10億ドル)増加し、タイの対PA輸出は4.70%(2億ドル)、輸入は44.67%(84,000万ドル)増加する予測となった。

具体的な品目としては、PAからは主に鉱石や水産物などの原材料が供給される可能性がある。タイからは穀物やプラスチック・同製品、ゴム・同製品、自動車・同部品、繊維製品などの輸出の増加が見込まれる。

PA加盟4カ国のうち、タイは既にチリ、ペルーとそれぞれ2国間FTAを締結している。DTNによると、PAは世界第8位の経済圏で、南米のGDP36%を占め、総人口は22,500万人に達する。2022年のタイ・PA間貿易は総額624,000万ドルに上り、タイの対PA輸出は436,000万ドル、輸入は188,000万ドルとなっている。

(注)コロンビア、チリ、ペルー、メキシコで構成し、加盟国間の経済統合を目指す組織。アジア太平洋地域との政治経済関係の強化を目標とする。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、韓国、スリランカ、中南米)

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