中銀、国民のカード決済に係わる動向発表

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年09月25日

バングラデシュ中央銀行は9月14日、「クレジットカード利用者の国内外における消費パターンに係わる概要」資料の最新(7月)版を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。中銀は、国内の商業銀行が発行するクレジットカードの利用件数および決済額の増加を背景に、国内に所在する43行の商業銀行およびノンバンク(Non-Bank Financial Institution)1機関からすべての決済データを収集し、2023年3月版以降、クレジットカードによる決済を月次で分析、公表している。

今般の発表によると、7月のバングラデシュ国内での当該決済のうち、約64%は商業施設(Departmental Stores、50.1%)と小売店(Retail Outlet Services、13.5%)における支払いで、消費者の直接購買が最大の決済となっている。また、ブランドはビザ(VISA)カード(73.5%)、マスターカード(MasterCard、16.2%)で約9割を占める。

中銀の最新の経済動向報告PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によれば、同国の当該決済の件数、および決済総額は2014/2015年度(2014年7月~2015年6月)にはそれぞれ883万7,960件、587億2,100万タカ(約822億940万円、1タカ=約1.4円)だったところ、2022/2023年度には4,703万4,412件、2,996億2,600万タカと、いずれも8年間で約5倍に伸長した(添付資料表1参照)。他方、当該クレジットカードによる総決済額に占める、海外滞在先における決済比率は10.5%(2022/2023年度)と、この8年間で約6ポイント減少した。同国の国籍を有する居住者は、一部の国への渡航などを除き、海外渡航に際して商業銀行で1人当たり年間7,000ドルを上限に外貨両替(決済)が可能とされる。しかし、昨今、商業銀行の外貨不足により、バングラデシュ人海外渡航者による両替は多くの銀行で困難な状況、との報道が一部みられる(「デイリースター」紙9月3日)。

なお、同国におけるカード決済において、最も普及しているデビットカードの実績は、それぞれ4億7,094万件、4兆5,632億4,600万タカ(2022/2023年度)に達している(添付資料表2参照)。同国では経済成長に伴い、キャッシュレス化に向けた目標も打ち出される中(2023年8月4日付地域分析レポート)、カード決済はその1つの指標にもなり得るだろう。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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