米フォード、ミシガン州のEVバッテリー工場建設を一時停止

(米国)

シカゴ発

2023年09月28日

米国大手自動車メーカーのフォードは9月25日、ミシガン州マーシャルの電気自動車(EV)用バッテリー工場の建設を一時停止したと報じられた(「デトロイト・ニュース」電子版)。このバッテリー工場は、同社が中国のバッテリー製造大手の寧徳時代新能源科技(CATL、本社:福建省寧徳)が提供するリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池の技術を利用し、電池セルを製造するために建設を予定しており、投資額は35億ドル、2026年に生産を開始する見通しだった(2023年2月17日記事参照)。

報道によると、フォードのT.R.リード広報担当は「この工場が競争力を持って運営できると確信が持てるまで、バッテリー製造工場プロジェクトの建設作業を一時停止し、支出を制限するつもりだ」とし、「計画中の投資について最終決定はしていない」と述べた(「オートモーティブ・ニュース」電子版9月25日)。

「デトロイト3」と全米自動車労働組合(UAW)との緊迫した労使契約交渉が続く中でのこの発表に対して、UAWのショーン・フェイン会長は「これはフォードによる雇用削減のための恥ずべき脅しだ。過去20年間で65の工場を閉鎖した『デトロイト3』は、まだ操業していない工場の閉鎖でわれわれを脅そうとしている。われわれはガソリン車からEVへの正当な移行を求めているだけだ」と述べた。

なお、9月27日には、米国連邦議会下院歳入委員長のジェイソン・スミス議員(共和党、ミズーリ州)、エネルギー・商業委員長のキャシー・マクモリス・ロジャーズ議員(共和党、ワシントン州)、中国特別委員長のマイク・ギャラガー議員(共和党、ウィスコンシン州)がフォードに対して、CATLとの提携に関連する文書の提出を要求し、ジム・ファーレイ最高経営責任者(CEO)が議会で証言するよう求めていると報じられた(ロイター2023年9月27日)。スミス議員とギャラガー議員は2023年7月にも、同プロジェクトについて、CATLと中国共産党(CCP)の関連があるとする安全保障上の懸念と、新疆ウイグル自治区での強制労働の懸念があるとして、フォードに対して経営の透明性を求める書簡PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を送っていた。

(星野香織)

(米国)

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