Plus W、IT技術者の日本派遣に向けネットワーク拡大

(パキスタン、日本)

カラチ発

2023年09月28日

グローバル人材紹介・派遣や国内副業人材支援などを行うPlus W外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(本社:東京都渋谷区、櫻井稚子代表取締役社長)は、IT人材を求める日本企業に向けた即戦力となるパキスタン人IT技術者の育成に本格的に乗り出した。

2022年に国立科学技術大学(NUST)、国立現代語大学(NUML)とIT人材育成などの協力に関する覚書(MOU)を締結したのに続き、9月に国立コンピュータ・新興科学大学(NUCES-FAST)、カラチ大学(KU)、NED工科大学(NEDUET)、セントラル・パンジャブ大学(UCP)、テック教育を通じて女性の自立支援をするNPO法人「サークル」(CIRCLE)ともMOUを結んだ。今後、3大都市の首都イスラマバード、カラチ、ラホールで理工系を中心に有力大学を網羅し、さらに5校以上の大学とMOUを結ぶ予定だ。これらの大学などと連携して、パキスタンが抱える以下5つの社会・経済課題について改善を目指す。

(1)IT人材育成強化・即戦力人材輩出、(2)情報通信技術(ICT)産業輸出拡大、(3)理工系新卒学生の就職率改善、(4)女性の就業率向上・社会進出促進、(5)都市と地方の教育・賃金格差の是正

写真 カラチ大学でのMOU締結式:Plus Wの堀内喬副社長(中央左)とカーリッド M. イラキ副学長(Plus W提供)

カラチ大学でのMOU締結式:Plus Wの堀内喬副社長(中央左)とカーリッド M. イラキ副学長(Plus W提供)

写真 NPO法人「サークル」とのMOU締結式:堀内喬副社長(中央左)、塩野博之センター長(堀内氏後ろ)とサダフェ・アビド最高経営責任者(CEO)(Plus W提供)

NPO法人「サークル」とのMOU締結式:堀内喬副社長(中央左)、塩野博之センター長(堀内氏後ろ)とサダフェ・アビド最高経営責任者(CEO)(Plus W提供)

これまで、パキスタン人エンジニアにとって、優れたIT技術を持っていても、日本語能力や文化・ビジネス習慣の違いなどが日本での就労課題となっていた。そこで、外国人学生受け入れを推進し、豊富な日本語教育実績を持つ四国大学(徳島県)監修の下、Plus WはIT企業内のさまざまな就業シーンに特化した日本語、文化・習慣、コミュニケーションを学習するプログラムを開発した。さらに、人工知能(AI)翻訳ツールや、在日パキスタン人のSNSコミュニティーなども活用しながら、短期間で日本語習熟と文化理解を図っていく。この事業実施には、経済産業省の新興国DX等新規事業創造推進支援事業補助金を活用する。このプログラムを2024年1月末までに各校約50〜100人の学生、卒業生向けに10校程度で実施し、同年3月末までに10人程度の高度IT人材の確保を目指すという。

Plus Wは2020年に設立。日本のIT人材不足とパキスタンの豊富な英語IT人材に着目して、2022年5月にNUSTと連携してNUST内に「ジャパンセンター」を設立した(2022年3月24日記事参照)。2023年8月には、米国大学で情報科学を学び、ロサンゼルスのディープテック系スタートアップで働いた経験を持つAIエンジニアの塩野博之氏を同センター長として新たに配置した。同社は2023年6月にパキスタン人ITエンジニア2人を本社採用し、7月から長崎県のIT企業に派遣している。パキスタン出張中の堀内喬取締役副社長は9月22日、ジェトロの取材に「トップ大学との提携を機に、パキスタンの高度IT人材の活躍の場を日本企業に一層拡げていきたい」と抱負を語った。

(山口和紀)

(パキスタン、日本)

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