全米自動車労組(UAW)、「デトロイト3」で史上初の同時ストライキ開始
(米国)
シカゴ発
2023年09月19日
全米自動車労働組合(UAW)は9月15日、米国内の「デトロイト3」の3州3拠点でストライキに突入した。UAWが3社で同時にストライキを行うのは史上初となる。UAWは7月13日のステランティスを皮切りに3社と交渉を開始したが(2023年7月18日記事参照)、協約満了期限の9月14日深夜時点で交渉が合意に至らなかった。今回のストライキによる影響は、ミズーリ州のウェンツビル組み立て工場などが受けている。詳細は添付資料表を参照。
UAWはデトロイト3の全工場でのストライキは実行しなかったことについて、「全国的なストライキまでエスカレートさせる可能性を持たせることができる」とし、「デトロイト3がわれわれにふさわしい協約交渉を拒否した場合、いつどの工場で業務が中断されるかわからないようにして、企業に推測させることで、長期的に企業への圧力を強めることができる」としている。
上記の組み立て工場の従業員のうち、現在約1万3,000人の労働者がストライキに参加しているが、これはデトロイト3のUAW組合員約15万人の9%に満たない。また、拠点が限定的なことから、ストライキが予想よりも小規模という見方もあるようだ。オート・フォーキャスト・ソリューションズの生産予測担当のサム・フィオラニ氏は「実際に損害を与えるストライキというよりも、象徴的なストライキだ」と述べている(オートモーティブニュース9月15日)。一方で、同氏は「もし交渉がUAWのショーン・フェイン会長の考えるポジティブな方向に進まなければ、1~2週間後には大規模なストライキが行われることは十分に予想できる」としている。
フェイン会長はストライキの継続を示唆しているが、今後ストライキの拡大と長期化で、デトロイト3の経済的な損失だけでなく、ティア1のサプライヤーで既に影響が出始め、ティア2、ティア3などの小規模なサプライヤーに大きな経済的負担がかかる可能性が懸念されている(デトロイト・フリー・プレス9月18日)。
(星野香織)
(米国)
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