2023年のGDP成長率予測を1.61%に引き下げ、外需の回復は下半期以降

(台湾)

調査部中国北アジア課

2023年08月24日

台湾の行政院主計総処(以下、主計総処)は8月18日、2023年第2四半期の実質GDP成長率を前年同期比1.36%と発表した。四半期ベースでは、2022年第4四半期から2四半期連続のマイナス成長が続いていたが、プラスに転じた(速報値、添付資料図参照)。2023年通年の成長率の予測値については、5月時点から0.43ポイント引き下げ1.61%とした。

第2四半期の実質GDP成長率を需要項目別寄与度でみると、内需全体の寄与度は1.83ポイントだった(添付資料表参照)。このうち、民間消費は5.56ポイントで内需を牽引したが、2022年にプラスで推移していた固定資本形成はマイナス2.37ポイントと第1四半期からさらに1.49ポイント落ち込んだ。

外需全体(純輸出)の寄与度はマイナス0.46ポイントだった。輸出の寄与度は最終商品の需要が弱く在庫調整に時間がかかっていることからマイナス5.05ポイント、輸入の寄与度は原材料価格が低下していることに加え、設備購入が減少していることから、マイナス4.59ポイントとなった。

2023年通年の実質GDP成長率の予測値は1.61%と、5月発表時から0.43ポイント下方修正された。寄与度については、内需が2.52ポイント、外需がマイナス0.91ポイントと予測。内需については、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染収束後のリベンジ消費欲が旺盛で、当局の現金給付策や「新型コロナ保険(注)」の給付金などもあることから、民間消費が引き続き好調に推移すると予測した。

外需については、世界経済の成長スピードが減速していることに加え、消費の重点が商品からサービスに移行していることから商品の在庫調整に時間がかかり、輸出が伸び悩んでいると指摘した。下半期には在庫調整も一段落し、人工知能(AI)や関連サーバーの需要が増加することから、輸出のマイナス幅は縮小し、2024年にかけて回復していくとの見通しを示した。

(注)台湾の損保各社が販売する新型コロナ感染症専用保険。新型コロナ感染や隔離時、またはワクチン接種後に入院となった場合に保険金を支払う。2023年6月30日時点で保険金支払総額は2,716億台湾元(約1兆2,494億円、1台湾元=約4.6円)に達した。

(江田真由美)

(台湾)

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