南北高速鉄道の指導委員会を設置、計画の具体化を目指す

(ベトナム)

ハノイ発

2023年08月15日

ベトナムのファム・ミン・チン首相は、7月26日付の政府官房文書5676号(5676/VPCP-CN)で、ベトナム南北高速鉄道プロジェクトの投資方針案を策定する指導委員会および同委員会を助言する諮問グループの設置などを交通運輸省に指示した。プロジェクトの早期具体化を目指す意向だ。

2023年1月にチン首相は日本政府に対して、ベトナム南北高速鉄道開発の今後の協力と助言を要請しており、日本企業の参画にも期待がかかる(政府電子ポータルサイト2023年1月31日)。

2019年2月に交通運輸省が作成した、南北高速鉄道実施可能性の事前調査報告書では、路線全長は1,545キロで、ハノイからホーチミンまで20省・市を通過。最高速度は時速320キロ、線路幅は標準軌の1,435ミリメートルを想定し、投資額は推計587億1,000万ドルとなっているが、具体的な計画は現在も検討中だ(VNエクスプレス2023年4月18日)。

指導委員会の委員長にはチャン・ホン・ハー副首相が、副委員長には交通運輸相、計画投資相、財務相が就く。委員には天然資源・環境相、国家資本管理委員会の委員長、中央経済委員会、国会経済委員会、国会財政・予算委員会、関連省庁などの代表者が含まれる。

諮問グループは、鉄道交通分野に特化した専門家などで構成。国内外のパートナーと協力し、投資方針案、開発過程における指導委員会の活動規則を策定することが求められている。

政府官房文書5676号では、投資方針案は2023年2月28日に政治局が承認した「2045年を視野に入れた2030年までのベトナムの鉄道発展方向」に関する結論49号(49‐KL/TW)を踏まえることを求めている。結論49号では、鉄道の開発目標を次のように設定している。

  • 2025年までに投資方針を決定
  • 2026年から2030年までに優先区間の着工(北部ハノイ市~中部ゲアン省ビン市、南部ホーチミン市~中部カインホア省ニャチャン市)
  • 2045年までに全線完成

南北高速鉄道プロジェクトに対しては、完成に向けた目標設定、既に主要都市を結ぶ航空網が整備される中での旅客ニーズや採算性などを疑問視する声も多い。グエン・バン・タン交通運輸相は、本プロジェクトが複雑な技術基準が必要な大規模案件であるため、投資方式や資本金、技術、速度、活用モデルなどを慎重かつ十分に研究し、長期的で戦略的なビジョンを確保する必要があると述べた。また、高速鉄道システムが発展した日本、中国、欧州などの経験を学ぶためのミッション派遣、国際コンサルタント動員などを実施の上、投資方針案決定を目指すとしている(ベトナム・プラス7月27日)。

(グエン・ラン)

(ベトナム)

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