連邦電力委員会、2035年までの新たな電力供給見通し発表

(スイス)

ジュネーブ発

2023年08月04日

スイス連邦電力委員会(ElCom)は7月28日、2035年までの中長期的な電力供給の安定性に関する分析を更新したと発表した(プレスリリース、フランス語外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ElComはまず、電力供給会社スイスグリッドに依頼して、2025年の電力供給安定性に関するシミュレーションを行った。今回のシミュレーションでは、ウクライナでの戦争とそれに伴う欧州のガス不足、さらには、フランスの原子力発電所の低い稼働率などを考慮したシナリオをベースにしており、前回(2021年)の分析のシナリオを更新した。

ElComはまた、2035年までの冬季の電力供給能力に関する見通しについて、原子力発電所の耐用年数を60年と仮定した上で、電力需要、再生可能エネルギー開発に関する新たな予測を用いて更新した。これらの分析に基づいて、ElComは、2025年には少なくとも400メガワット(MW)、2030年からは700〜1,400MW規模の予備火力発電容量を推奨した。さらに、再生可能エネルギーの発展と電力需要の拡大については、大きな不確実性が伴うことから、必要に応じて予備発電能力を調整できるよう、段階的なアプローチと再評価を行う必要があるとした。

(注)連邦電力委員会(Federal Electricity Commission(ElCom))は電力部門の独立した政府監督機関。電力供給とエネルギーに関する法令順守を監督し、必要な決定を行い、法令を発出する。

(竹上嗣郎)

(スイス)

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