グテーレス国連事務総長、BRICS首脳会議で国際機関改革や気候変動対策を訴え

(南アフリカ共和国、ロシア、中国、インド、ブラジル、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)

調査部中東アフリカ課

2023年08月25日

国連のアントニオ・グテーレス事務総長は8月22~24日に南アフリカ共和国ヨハネスブルクで開催された第15回BRICS首脳会議(2023年8月21日記事参照)の拡大首脳会合に出席した。国連の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、グテーレス事務総長は気候変動、貧困や飢餓、地政学的な分断やロシアのウクライナ侵攻などの課題の解決のために、世界の団結を呼びかけた。

また、現在のグローバルガバナンスの仕組みはアフリカ諸国が植民地となっていた時代に構築されたとし、国連やIMF、世界銀行などの国際機関は今後より一層、アフリカ諸国などのグローバルサウスの声を拾う必要があると述べた。今回発表されたBRICS加盟国の拡大を念頭に、アフリカ低所得国が地政学的な分断の影響にさらされているとし、国際機関の改革がなければ、さらなる分断は避けられないと警告した。

南ア政府の発表によると、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アのBRICS加盟5カ国に加えて、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)の6カ国が2024年1月から新規加盟することを決定した(2023年8月25日記事参照)。このほかにも、既に加盟を申請済みの国もあり、今後、BRICSのメンバー国はさらに拡大する見込みだ。

加えて、グテーレス事務総長はアフリカなど途上国の気候変動対策の強化についても呼びかけた。先進国から途上国への1,000億ドルの気候変動資金の公約の実行と、気候変動に関する「適応基金」の拠出金額の倍増を訴えた。また、国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)で設立が決定した気候変動に対する損害と損失に係る途上国を支援する基金の運用開始の重要性も訴えた。

(井澤壌士)

(南アフリカ共和国、ロシア、中国、インド、ブラジル、アルゼンチン、エジプト、エチオピア、イラン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)

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