中銀の6月経済金融報告、タイ経済は回復維持、工業生産低調も消費は好調

(タイ)

バンコク発

2023年08月09日

タイ中央銀行(BOT)は731日、6月の月例経済金融報告外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。6月のタイ経済は引き続き回復を維持し、タイ人や外国人の旅行者数の増加に伴い、観光業が好調だった。財輸出(金を除く)も、主に農産品が好調だったことから、前月比で伸張した。一方で、工業製品の輸出については、工業製品の生産とともに低調で、民間消費、民間投資はともに前月比でマイナスとなった。

工業生産指数は前年同月比5.2%減、前月比(注)0.2%減と縮小した。貿易相手国の需要の弱さから、砂糖やゴム製品を含む幾つかの分野で生産が減少した。一方で、中国からの金属輸入が減っていることから、国内での金属生産が増加した。

需要面については、民間消費指数が前年同月比6.5%増、前月比0.3%減となった。民間消費指数は前月の上昇に対して、ほぼ全てのカテゴリーで低下したが、これは選挙活動や国家福祉カードを通じた現金支給の遅れなど要因で、5月に一時的に上昇したことの反動が影響している。民間投資指数も前年同月比は1.6%減、前月比は1.8%減と縮小した。

財輸出(金を除く)は前月比で2.5%増、前年同月比は4.6%減だった。米国、欧州向けハードディスク(HDD)の輸出の拡大や、中国向けドリアンの伸びによる農産品輸出拡大などが影響した。

6月の外国人観光客数は2241,000人で、前月比4.4%増加した。特に中国、マレーシアからの観光客数が両国の長期休暇のため増加した。中東、欧州からの観光客数は微減だった。

四半期別にみると、2023年第2四半期(46月)のタイ経済は前期から緩やかに改善した。タイ人、外国人の旅行者数が増加し、サービス業や民間消費が拡大した。財輸出(金を除く)も、農産品の好況もあって微増した。他方で、工業生産は低下した。主な要因は食料品・飲料製品、自動車の生産が減少したことが挙げられる。

(注)前月比は季節調整済みの数値。

(藤田豊)

(タイ)

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