エジプト大統領、BRICS加盟を歓迎、関係国と協力し経済発展を目指す

エジプト大統領府報道官は8月24日、公式フェイスブックでアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領の声明として「2024年1月にエジプトをBRICS加盟国に招待するという同グループの宣言を評価し、強固な関係を共有するBRICS加盟国の信頼に感謝する。われわれが直面する開発上の課題に関してグローバルサウスの声を高め、発展途上国の権利と利益を促進するため、BRICS加盟国に加え、招待された国々と協力することを楽しみにしている」と発表した。南アフリカ共和国で開催されたBRICS首脳会議において加盟国の拡大が決定していた（2023年8月25日記事参照）。

8月26日付「Egypt Today」紙は、エジプト思想・戦略研究センター（Egyptian Center for Thought and Strategic Studies）の分析として、エジプトのBRICS加盟は次の7点の経済的な影響をもたらすとした。

1. BRICS加盟国が世界全体の経済に与える影響の拡大。
2. BRICS加盟国がドルの需要を減らし、代替決済システム形成と共通デジタル通貨の創設に取り組むようになる。
3. BRICSが設立した新開発銀行（New Development Bank）を通して、エジプトの持続可能な発展と、流動性問題に対処する能力が高まる（エジプトは2021年に新開発銀行へ加盟済み）。
4. エジプトのアフリカでの影響力が高まり、アフリカと、アジア、南米を結ぶ中心となることが期待される。
5. エジプトとBRICS加盟国間の貿易の拡大（2022年のエジプトのBRICS加盟国への輸出は前年比5.3％増の49億ドル）。
6. 新たにインドなどの国々によるエジプトへの投資が期待できる。
7. BRICS加盟国は世界の穀物の約3分の1を生産しており、エジプトは、ロシア、インドと小麦やコメなどの戦略物資の貿易について協議してきた。BRICS加盟は穀物などの戦略物資の確保につながる。

また、8月24日付「Business Egypt Today」紙は、内閣府の情報・意思決定支援センター（Egyptian Cabinet's Information and Decision Support Center）の分析として、エジプトが2021年にBRICSが設立した新開発銀行への加盟に招待されたのは、BRICS加盟国、中東、北アフリカにおけるエジプトの経済的・地政学的重要性が高かったことを示すとしている。また、BRICS加盟国との協力関係は、持続可能な成長の機会となり、米ドル依存を減らすことで為替安の圧力を緩和することができるとした。さらに、BRICS加盟国として、開発プロジェクトへの資金提供が可能となり、世界規模で新興国に力を与えることができるという。

（西澤成世）