大統領選でアレバロ氏が勝利、中国と台湾との関係が注目点に

(グアテマラ)

メキシコ発

2023年08月22日

グアテマラで820日、625日の大統領選挙で決選投票へ進んだ候補者2人に対する投開票が行われた(2023年6月27日記事参照)。開票率98%時点で、中道左派・種の運動(Movimiento Semilla)に所属し、セサル・ベルナルド・アレバロ・デ・レオン元外務次官が58%、中道左派・国民希望党(UNE)に所属し、故アルバロ・コロン元大統領の夫人のサンドラ・フリエタ・トーレス・カサノバ氏が37%の得票率となり、20日夜にアレバロ氏が勝利宣言した。同氏は2024114日に就任し、任期は4年。

今回の両者の争点は、政府内で頻発する汚職事件への対策や、国内の公共インフラ投資を通じた新規雇用創出だった。アレバロ氏は汚職撲滅を掲げ、舗装高速道路の新設と既存高速道路の改良事業、首都グアテマラ市初の地下鉄建設といった大規模な雇用創出プログラムを展開することで、国内の貧困を軽減すると約束していた。

対外関係では、アレバロ氏はまず現状の主要貿易相手国との協力関係の確立を目指すとしている。特にグアテマラにとって最大貿易相手国かつ投資元国の米国に対しては、相互尊重と国際協力、主権の原則に基づいて、可能な限り最高レベルの協力を模索すると述べた。具体的には、国内の農業従事者へ低利融資を実行して生産量と所得を増加させることで、貧困を理由とした米国への移民を抑制させる案を提示した。中国と台湾との外交関係については、トーレス氏が親台湾路線の継続を明確に表明していた。一方、アレバロ氏は台湾との関係を切りたくないが、中国との貿易拡大を望むと主張していた。アレバロ氏は勝利宣言後、「満足のいくかたちで両方との関係を維持し、最終的にわが国の利益にプラスとなる道を見つける」と述べている。米国とのさらなる関係強化を目指しつつ、中国と台湾との関係を今後、どうしていくのかが注目点となる。

(志賀大祐)

(グアテマラ)

ビジネス短信 9224648ccbd7add0