日本の上半期(1~6月)の農林水産物・食品輸出額は7,144億円に拡大

(日本、世界)

農林水産食品部市場開拓課

2023年08月07日

日本の農林水産省が8月4日に公表した「農林水産物・食品の輸出実績」「農林水産物輸出入情報」によると、財務省貿易統計に基づく2023年上半期(1~6月)の農林水産物・食品輸出額(確報値)は前年同期比9.6%増の7,144億円(少額貨物輸出額454億円を含む)となった。多くの国・地域で新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限が解除され、外食向け需要が回復したことや、小売店やEC向けの販売も引き続き堅調だったことに加えて、円安により海外市場での競争環境が改善したことで、上半期としては過去最高となった。

輸出額上位3品目は、1位はアルコール飲料(701億円、前年同期比1.2%増)、2位はホタテ貝(383億円、1.1%減)、3位は清涼飲料水(273億円、23.5%増)だった。1位のアルコール飲料の輸出額は、韓国向けが前年同期比2.1倍と好調だったほか、中国、EU、オーストラリア向けも大きく伸びたが、米国、香港、シンガポール向けで減少したため、全体としては微増にとどまった。韓国向けはウイスキーとビールの輸出額の増加が大きく、2019年~2020年に減少傾向にあった韓国向けビール輸出も回復基調にあり、輸出額は台湾を抜いて1位となった。

一方、輸出額の減少が大きかった品目はサバ(57億円、前年同期比48.7%減)だった。日本での漁獲量が減少したことにより、東南アジアやアフリカ向けの輸出が減少したことが響いた。主要輸出先のベトナム向けが前年同期比で40.4%減少した。

輸出額上位3カ国・地域は、1位は中国(1,394億円、前年同期比16.2%増)、2位は香港(1,154億円、25.8%増)、3位は米国(964億円、7.9%減)だった。中国向けでは、同国向け主要輸出品目のホタテ貝(214億円、前年同期比4.0%増)や、アルコール飲料(185億円、12.2%増)といった品目が堅調だった。また、加糖飲料や健康・美容系飲料の需要が増加し、清涼飲料水は前年同期比53.6%増の88億円と大きく伸びた。

香港向けの主な増加品目としては、真珠(天然・養殖、192億円、前年の2.8倍)、ホタテ貝(調製)(53億円、2.9倍)、たばこ(31億円、2.2倍)が挙げられる。2023年3月に4年ぶりに香港でリアル開催された「香港インターナショナル・ジュエリー・ショー」などの宝石・宝飾品の国際見本市に向けて、日本産真珠の輸出量が増えた。たばこは、世界的に渡航制限が緩和されたことで、国際空港内の免税店で日本産たばこを購入する機会が増えたためと考えられる。

米国向けの輸出額は、2022年下半期から2期連続で減少に転じた。主な減少品目は、アルコール飲料(126億円、前年同期比22.8%減)や練り製品(13億円、45.7%減)だった。特に日本酒については、物価高による消費減退や在庫調整等が長引いている影響で輸出額が減少した。

(上嶋友也)

(日本、世界)

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