サウジアラビアもBRICS加盟、外相が首脳会議に出席

(サウジアラビア、ブラジル、インド、ロシア、中国、南アフリカ共和国)

リヤド発

2023年08月29日

8月24日に南アフリカ共和国で開催されたBRICS首脳会議において、サウジアラビアがBRICSに新規加盟することが発表された(2023年8月25日記事参照)。

サウジアラビアからは、ファイサル・ビン・ファルハーン・アール・サウード外相が首脳会議に出席した。同外相は「本首脳会議が、相互尊重に基づいて協調、協議、関係性を強化する方法を議論し、あらゆる分野で協力を強化していく機会を模索するための道を切り開くものとなることを望む」とした。また、「このアプローチは、共通の課題を克服し、発展と経済的進歩を支える安全保障と安定のための条件を提供するために、集団行動の重要性を強調し、多国間協力の枠組みを活性化させるという(同国の)努力と一致する。これはまた、ビジョン2030の重要な柱だ」と述べた。経済関係については、「(同国と)BRICSとの強固な関係性を反映し、2022年の貿易額の合計は1,600億ドルに達した」とした。「(同国と)BRICSグループとの戦略的関係は、共通の原則の枠組みを強化しており、その最も顕著なものは、国家の主権と独立の尊重、国家問題への不干渉、国際法の順守、紛争解決への平和的アプローチ、国際平和と安定の保護、補完的協力と効果的な共同開発を達成するための最良の多国間外交枠組みの採用だ」と述べた〔8月24日付サウジアラビア国営通信(SPA)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます〕。

国内外のメディアがBRICS加盟を大きく取り上げる中、8月27日付の「アル・アラビーヤ」では、有識者の慎重な見方も紹介されている。エコノミストのジャマール・アブドゥル・ラーマン・アル・アカド氏は「サウジアラビアは加盟国にとって信頼に足るエネルギー供給元となるだろう」としつつ、「同国の決定は、国家の主権と独立を尊重し、平和的手段で紛争を解決するなど、いくつかの問題を考慮することになる」と述べた。

また、国際貿易専門家のファワズ・アル・アラミ氏は「サウジアラビアの加盟により、現加盟国は恩恵を受けるだろう。一方で、BRICSは経済組織ではなく、一極体制に不満を持つ国々をまとめた純粋な政治グループだ。サウジアラビアはこうした枠組みに入らず、誰からも同じ距離を置き、経済システム、伝統、商業交流を持たない組織で主要国になることは目指していない」とした(8月24日付「ワールド・トゥデイ・ニュース」)。

(林憲忠)

(サウジアラビア、ブラジル、インド、ロシア、中国、南アフリカ共和国)

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