フォルクスワーゲン、小鵬汽車に約7億ドル出資、EV共同開発へ

(中国、ドイツ)

上海発

2023年08月03日

中国の新興電気自動車(EV)メーカーの小鵬汽車(Xpeng)と、ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は7月27日、技術協力の枠組み協定と第三者割当増資の契約を結んだと発表した。同社はVWに対し、米国預託株式(ADS)を1株当たり15ドルで発行し、合計約7億ドルを調達する。第三者割当増資を実施した後、VWが小鵬汽車の株式4.99%を取得する予定だ。また、両社は小鵬汽車のG9モデル用プラットフォームや、スマート機能、自動運転システムなどを活用し、2車種のEVを開発する。2026年をめどに生産を開始し、VWブランドとして中国市場で販売する計画だ。

小鵬汽車との提携について、VWの中国事業担当は「中国現地パートナーとの提携は中国戦略の基本で、EVラインアップを拡充させると同時に、次のイノベーションに備える。両社のコアコンピタンス(中核となる強み)を結集し、中国の消費者特有のニーズに対応する新製品を素早く投入するとともに、開発・調達コストの削減にもつなげる」と説明した。

小鵬汽車は広東省広州市に本部を置き、中国国内のほか、米国にも研究開発センターを設置している。同社は2020年8月にニューヨーク、2021年7月に香港の証券取引所に上場し、中国の新興自動車企業で初めて両証券取引所に重複上場した。VWは1984年に中国で合弁企業を立ち上げ、2022年の中国での自動車総出荷台数が318万台に達し、同年末の従業員数は9万人を超えたという。

業界団体の乗用車市場信息聯席会(CPCA)の発表によると、VWの中国合弁2社の2023年上半期(1~6月)販売台数(小売りベース)は、一汽大衆汽車(注1)で前年同期比2.8%減、上汽大衆汽車(注2)で同0.1%減と、いずれも苦戦している。また、小鵬汽車の上半期販売台数(納車ベース)は39.9%減と、同じく新興EVメーカーの理想汽車(約2.3倍)とは対照的だ(「澎湃新聞」7月2日)。中国市場を取り巻く状況が厳しくなる中、両社は提携して巻き返しを図る。

(注1)VWと第一汽車の合弁会社。

(注2)VWと上海汽車の合弁会社。

(劉元森)

(中国、ドイツ)

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