主要貿易相手国の為替下落でインフレ懸念高まる

(ウズベキスタン)

タシケント発

2023年08月18日

ウズベキスタンの通貨スムの中央銀行公定レートで810日から11日にかけ、3.5%(1ドル=11,667スムから12,075スム)の顕著な下落がみられた。国内では物価上昇が懸念されており、政府は食料増産など対策に乗り出している。

中央銀行は810日、この動きに対し、為替レートの急激な下落は容認しないとの声明を発表。スム下落の理由として、主要貿易相手国の為替が(ドルなどに対し)大幅に下落したことにより、ウズベキスタンの輸出事業者の外貨収入や国外に滞在する出稼ぎ労働者からの外貨送金が目減りし、ひいては、国内の外貨流通量に悪影響を及ぼしたことを挙げた。

中銀のママリゾ・ヌルガリエフ総裁は727日の記者会見で、ここ6カ月間のスムの対ドル下落率は3.12%とした。810日の下落は1日で同幅を上回ったことになる。ヌルガリエフ総裁は、主な貿易相手国のトルコ、ロシア、中国の通貨がスムと比べて対ドルで大きく下落していることも指摘した。

スムの対ドルレートの下落により、食品を中心とした消費者物価の上昇加速が懸念されている(注)。ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領は811日、食料生産増大とエネルギー供給確保を通じた物価安定に関する会合で、食料価格上昇への対策として二毛作物の栽培拡大や州政府による物価モニタリングの強化などを指示した。83日には、過去に財務相、経済発展・貧困削減相などを歴任したジャムシド・クチカロフ副首相が経済財務相兼務を任命されており、高インフレや国家財政赤字問題などに取り込む予定だ。

(注)ジェトロでは、タシケントの消費物資価格をモニタリングしており、ジェトロのウェブサイトから毎月の価格の推移を見ることができる。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(ウズベキスタン)

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