中銀、政策金利を8.5%に引き上げ、高まるインフレ圧力

(ロシア)

調査部欧州課

2023年08月01日

ロシア中央銀行は721日に行われた理事会で、主要政策金利(キーレート)を7.5%から8.5%とすることを決定した。24日から適用された(添付資料図参照)。内需回復によるインフレ加速を抑制するのが狙い。

エリビラ・ナビウリナ総裁は721日の記者会見の中で利上げについて、物価上昇率が加速していることを挙げた。内需が急速に拡大したことで、生産の供給不足と労働市場の人手不足が深刻化しており、物価上昇圧力が高まっているとした。また、通貨ルーブル安が進行していることや、家計および企業のインフレ期待が高い水準にあることも理由だと説明した。

ナビウリナ総裁は、月次の物価上昇率が加速しており、現在は年率で4%を超えていると指摘した。高まるインフレ圧力の要因は、財政支出の増加および賃金上昇と金融機関による個人向け融資の急増による個人消費の拡大だ。ルーブル安については、制裁や資源価格の下落に伴い輸出が減少し、国内需要の回復で輸入が急速に増えていることを理由に挙げた。

ロシア中銀は2023年のインフレ率見通しを5.06.5%とし、6月時点の見通しと比べ下限値を0.5ポイント引き上げた。ナビウリナ総裁は、キーレートが2023年は平均で7.98.3%、2024年は8.59.5%になる、と述べた上で、今後さらに利上げする可能性を示唆した。

(小野塚信)

(ロシア)

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